ルイのピアノ生活

第26回 親の影響/曲:ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」 

2006/07/13
♪ 演奏
ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」 動画 動画:(6,40s)
 
アムステルダムのオペラ座

私の父はオペラが大好きです。お父さんは毎年、自分と私の為にオペラ座の定期券を買っていてほとんど毎月、私達は二人でオペラ見に行っていました。2週間前になると、父は観る予定のオペラについての本を買ってきました。父は職業柄?もあって、様々な事に興味を持っていましたが、今回のオペラについて、作曲家について、お話について、時代背景の事について、それは興味深そうに読んでいました。私の両親は2人とも読書が大好きで、家の半分は本棚です。でも、父の読んだ本は私に直接渡されることも、「読みなさい」と言われた事もありませんでした。その代わり、私の部屋に来て、いつも必ずこんな事を言いました。「あのオペラの本は本棚にしまったけど、今回はこれまた面白い本だったなあ!」直接読みなさいとは言わなくても、読んでみればという意味が入っていたのでしょうか。結局、その言葉を聞いて、私は本を読まずにオペラに行った事はありませんでした。

ヨーロッパの子供達は、夜とても早く休みます。私は小学校まで夜の7時には寝なければなりませんでした。高校では就寝時間は9時。私達、子供が寝た後、お母さんは時々ピアノを弾くこともありました。私と2人で弾く連弾の自分のパートを、夜に練習していたのです。そのピアノの音を子守歌代わりに、眠りにつくこともありました。

アムステルダムのオペラ座

週末になると、ほとんど毎週、両親が友人達を呼んだりしていました。そんな時は、母が丸一日かかってごちそうを準備します。日本語でも「ホームパーティ」と言いますね。両親と、4人~6人の友人達が集まり、一晩中食べたり、飲んだり、話したり・・・。日本と違うところは、子供は一切参加しないという事。(南欧だと子供も一緒に食べたり飲んだりしますが、北欧では子供と大人は別行動です。)私達の寝る時間になったら、大人がいるリビングに行って、皆に「おやすみなさい」の挨拶をしなければならずその時はほとんど毎回、「ルイちゃん・・1曲お願いします!」と頼まれました。皆の前で1曲披露してから、皆にお休みのキスで退場・・・。

無理は一切ありませんでした。音楽は生活の一部と感じていました。ピアノの練習は先生の為でも、親の為でもなく音楽をいつも、とても身近に感じていました。ピアノを楽しんで弾いたり、家に来るお客さんに聴かせたりしましながらきれいな曲を弾けるとうれしかったけど、上手になろうとは考えた事も無かった。でも、こんな経験を通して音楽は何の為にあるか、感覚的に覚えていった気がします。

勉強も同じだと思います。勉強は受験の為じゃなくて、興味があれば自然にする事です。いい大学入るためじゃなくて、人間として成長するための事です。

子供がピアノを練習しなくて悩んでいるお母さんからのメールが時々来ます。「うちの子は最近全然練習していない!・・・どうすれば良いですか?」というようなメールです。ケース・バイ・ケースで、色々な原因が考えられます。でも、基本的に私は子供に無理をさせるのはあまり好きではないです。無理してピアノの前に座らせるより、一番いいのは、良い例を見せる事ではないでしょうか。親が自分では全く勉強しないで、子供に勉強しなさいと言うだけで、果たして効果があるでしょうか?自分が色々な物事に興味がある態度を見せて、本を読んだり・・研究したりすると、子供はまねをするようになります。(すぐでなくても、絶対いつかそうなります)その結果、とても良い影響を与えられるのではないでしょうか。もし、ピアノを練習しない子供がいたら、その子ばかりに集中して・・練習を強いるより、お母さんやお父さんがピアノを弾けなくても音楽を聴いたり、子供と演奏会に行ったり、家族で音楽を楽しんだりしたらどうでしょうか?親の音楽に対する愛情が子供に伝わってきて、一生音楽を愛せる人に成長するのではないでしょうか。

私は小さな時からかなりの頑固者です。もし親からオペラの本を読みなさい、ピアノを練習しなさいと言われたら反抗して、音楽などまったく興味を持てなかったかも知れません(笑)。一生音楽を楽しめるのは、自分達自身が音楽を楽しんでいた両親のお陰ではないかと思います。感謝。

それでは、また!

ルイ・レーリンク

学生時代の友人とピアノ2台のコンサートを行います!
サン・サーンス 「動物の謝肉祭」 より、シ ョパン
バッハ 他です。ぜひいらしてください!

田中幸治&ルイ・レーリンク デュオ・コンサート
日時:7月23日(日)16:30開演
於:ジョイア・ミーア(新潟市東堀り7 TEL:025-224-2588)
入場料:大人5000円 中高生3000円
お申込み:kouji-ruis-piano.duo@h.vodafone.ne.jp
TEL:090-2980-2757(大山)




ルイ・レーリンク

オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。

NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。

ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp

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