ラフマニノフ：前奏曲op.3nr.2　　 動画：(4m39s)

受験のシーズンです。
日本の受験生はとても忙しいですね。頑張っている生徒の様子は感動的です。みんながよく頑張っているな！と尊敬します。オランダの受験も大変ですか？と時々聞かれますが、実はオランダに受験はないです。 中学校も、高校も、大学も受験はありません！願書を送るだけです。うらやましいですか？

少しオランダの学校の話をしましょうか。幼稚園は多分日本と似ていると思いますが、ひとつ日本では信じられない事が僕の幼稚園で毎日行われていました。私の幼稚園では、お母さんが作ったお弁当をお昼に持っていきますが、食べる前に弁当を持って円を作ります。すると先生がピアノを弾き出してこのピアノに合わせて手に持っている弁当を隣の子に渡します。これを音楽に合わせて続けて、先生の演奏が急に止まったら、今持っている弁当をお昼に食べなければならないのです。だから滅多に自分のお母さんが作ったお弁当を食べられない！70年代でしたので、まだヒッピーの考え方の影響か「自分の物は自分に」より、「皆と分け合う」事が大事でした！

そして私は日本の子供達のように6歳から小学校に通い始めました。しかし私の小学校では宿題は無い学校でした。（初めて学校の宿題もらったのはなんと中学校でした）私の小学校は特に自由な学校で勉強より創造性が大切でした。記憶力より、自分から考え出す力。外で自分で小屋を造ったり、パンを作ったり、毎週芝居をしたり、服を編んだり、粘土で遊んだり、畑を作ったりしました。何かを想像してから造ることはとても大事でした。毎週金曜日に校内の発表会がありました。舞台に登って、全生徒の前で何でもやってもいい会でした。自分で作ったお話を語ったり、劇をしたり、漫才をしたり・・そしてもちろん音楽を聴かせる事もできました。私も何回も練習している曲をそこで発表しました。楽しかった！

受験はないし・・テストもない・・とても自由でした。誰かに判断される事は意識しなかったので、緊張もしませんでした。今やっている事が正しいか間違っているかなんて考えていなかった。ただ楽しく自分がやりたい事だけをやっていた頃でした。

先日、コンサートでシューマンの「子供の情景」を演奏しました。子供の素直な気持ちに憧れて、子供頃の自分に戻りたい、少し複雑な大人の気持ちを表している曲集です。その気持ちがよく分かります。私はピアノを弾いている時に、小学校の発表会をよく思い出します。変に弾いているか、間違っているかを考えずに、皆の前では自分が一番好きな事を見てもらいたいです！

クラシック音楽の世界では試験やコンクールなどの影響で、楽しく弾くより、自分がどれ程上手に正確に弾けるかを見せたい人が多い気がします。不思議ですが、他のジャンル（ジャズ、ポップスなど）ではあんまり感じないですが、クラシック音楽はとても平和な芸術なのに、勝負の気持ちで奏でている人がとても多いようです。

音・ピアノ・音楽を愛するのは私にはなによりも大切です。音楽を勉強すると大変な事がたくさんあります。悲しい事も、悔しい事もたくさんあります。しかし一番大事なのは続ける事です。否定されても続ける！ファイトや勝負の気持ちより「愛情」を持って奏でて下さい。音楽を愛して！愛して！！愛して！！！愛があれば音楽をずーと楽しく続けられます。「愛」を受験で失わないように・・ずーっと子供の気持ちで・・！
これを受験生に言いたいです。頑張ってください。
All you need is love !

それでは、また！

ルイ・レーリンク

この曲に和声がたくさん書いてありますが、長いフレーズを感じてレガートで旋律的に弾きましょう。和音を弾く前に指を鍵盤の上にのせて、肩やひじから少しピアノに向かって押しましょう。体の体重を鍵盤に入れるような感じです。そして和音を弾いた後にすぐ手の脱力！鍵盤からすぐはなして、腕を柔らかくに。又は手を広げた状態にしないで、すぐ手を小さくに。和音と和音の間に必ず脱力です。しかし頭で和声をつなげて考えてください。 今回このビデオを収録したロケーションはPTNAの東音ホール（東京都豊島区巣鴨） でした。