海外の音楽教育ライブリポート/菅野恵理子

リーズ国際コンクール(3)演奏を終えて・日本人出場者3名のミニインタビュー

2012/09/03
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リーズ国際コンクール出場者は、会場から車で約10分の住宅地にあるデヴォンシャー・ホールという建物で食事などをしている。日本人3名が第一次予選の演奏を終えたところで、短いインタビューをしたのでご紹介したい(演奏順)。

━ 一次予選の演奏お疲れさまでした!一次予選を終えての感想をお願いします。

須藤梨菜さん:とりあえず一息つきました。今回は2回目の出場で、前回はホールのステージの高さに慣れていませんでしたが、今回は凄く弾きやすかったです。(ホールは窓から光が差し込んで明るい)私はお客様が見えた方が好きですね。

渡辺友理さん:ピアノのコントロールが難しくて大変でした。

阪田知樹さん:いつも弾くステージと違って、光があって客席が見える感じが新鮮で楽しめました。アレクセイ・スルタノフが好きなのですが、彼がチャイコフスキー国際コンクールで弾いているライブ映像がありまして、その感じが似ている(笑)とリハーサルの時にその気分を楽しんでいました。

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━ リーズコンクールに参加しようと思ったきっかけと、今回の選曲について教えてください。

須藤さん:3年前にリーズの街に惹かれ、もう一度このリーズ国際コンクールのステージでより沢山の方に演奏を聴いて頂きたいと思ったのがきっかけです。今回一次予選で弾いたカルメン変奏曲(ビゼー=ホロヴィッツ)は前回も用意していましたが、カットがあって弾きませんでした。リストのハンガリー狂詩曲は2回目ですが、あとは全く違う曲です。以前より考えて、中身の深いレパートリーを選ぶようになったかなと思います。以前は華やかな曲が好きでしたが、今はしっとり歌う曲も好きになりました。コンクールでシューベルトをプログラム(三次予選)に入れたのは初めてです。(写真:須藤梨菜さん(左)と阪田知樹さん(右)。デヴォンシャーホール内にて)

渡辺さん:プログラムは以前から取り組んでいる曲と新曲を半々くらいです。(※現在通っているイモラ音楽院では、毎年50分プログラム×2つと協奏曲2曲に取り込むことが課題、と説明してくれました)

阪田さん:一次予選は(バロック・)古典派が課題なのでベートーヴェンを弾こうかと。熱情ソナタはとても好きで、自分が溶け込んでいける感覚があります。パウル・バドゥラ・スコダ先生に習った思い出の曲でもあります。


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━ 国際コンクールでは練習場所や移動など色々制約がありますが、どのように自己管理されていますか。


須藤さん:いつでも練習できる状態というよりは、いつ練習して次に何をして・・と自分の中で計画を立てられるのでスケジュール管理がしやすいです。

渡辺さん:現在イモラ音楽院とボローニャ大学の両方に通っているのですが、普段はとても忙しい毎日です。同時に違うことをするのには慣れているので、違う環境にいてもストレスにはなりません。ボローニャ大学では卒業論文とインターン(ミラノのファツィオリ社)が残っています。(右:渡辺友理さん・コンクール会場にて)

阪田さん:どこにいても自分は変わらないです。リーズでも横浜でも同じです(笑)。アップライトの部屋に3時間でもいつもと同じように練習しますし、むしろそのピアノを楽しむ感じです。ここではピアノを弾くこと以外ないのですが、部屋では曲を書いたりもしています。今ピアノのソロ曲を2曲書いています。


━ ありがとうございました!良い結果が出ることを祈っています。

菅野 恵理子(すがのえりこ)

音楽ジャーナリストとして各国を巡り、国際コンクール・音楽祭・海外音楽教育などの取材・調査研究を手がける。『海外の音楽教育ライブリポート』を長期連載中(ピティナHP)。著書に『ハーバードは「音楽」で人を育てる~21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育』(アルテスパブリッシング・2015年)、インタビュー集『生徒を伸ばす! ピアノ教材大研究』(ヤマハミュージックメディア・2013年)がある。上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会勤務を経て現職。2007年に渡仏し「子どもの可能性を広げるアート教育・フランス編」を1年間連載。ピアノを幼少・学生時代にグレッグ・マーティン、根津栄子両氏に師事。全日本ピアノ指導者協会研究会員、マレーシア・ショパン協会アソシエイトメンバー。 ホームページ:http://www.erikosugano.com/

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