第一部<第10回> 月命星
前回、私の体験を元に、先生と生徒における九星関係の重要さについて触れましたが、まず子供の場合、九星は生まれ年ではなく、生まれ月で見る必要があります。
少々面倒ではありますが、調べ方はパターンを覚えてしまえば簡単です。
九星の新年度は立春からですので、毎年2月がスタートになります。十二支の第1グループである子・卯・午・酉の歳は2月に八白を置き、以下3月に七赤、4月に六白・・・と逆行して行きます。すると翌年、第2グループの丑・辰・未・戌歳の2月には五黄が回り、次の第3グループ、寅・巳・申・亥年の2月は二黒が回ります。つまり三種の土星月によって新年が始まるのです。
ただし、各月は1日からではなく、「節入り」から始まるので、最初の数日間は前月となる点、注意して下さい。念のため「節入り日」を挙げておくと、2月から順に立春、啓蟄、清明、立夏、芒種、小暑、立秋、白露、寒露、立冬、大雪、小寒となります。
例えば2010年1月節生れの子供は三碧木星ですが、長じて九紫火星に変わります(1月は前年の九星となる点に注意)。つまりこの子供を指導するのに最適なのは「親」に当る一白水星の先生ということになります。ただし、子供が成長してくると九紫に変わってしまうので、余り長期間指導することは却ってマイナスの結末(水尅火)を生む、と判断します。
指導力に優れた先生なら「親」にこだわる必要はないのですが、子供を責めてしまう「死気」に当る先生だけは避けた方が無難です。やる気を無くしてしまうからです。
では、月命星から本命星へとシフトする年齢はいつ頃でしょうか。一般に気学では18歳までが月命星の支配下にあるとしています。ただ、私はこの説に懐疑的です。自分の過去や、これまで見た経験から察するに、本命星の性格が表面化するのはもっとずっと早く、11歳頃からではないかと思います。
その理由について、私は次のように考えています。人間の寿命の上限を120年として、つまり還暦二回り分を、本命星の支配期間とするならば、月命星の支配は120ヶ月、日命星が120日、時命星が120刻――1刻は2時間なので240時間=10日間、と考えた方が自然ではないでしょうか。
生れた日や時間にも九星の配置があり、人間の一生は四段ロケットのように、誕生期・発育期・成長期・成年期と、それぞれの九星の影響下で心身の性質を変化させていくように思われます。11歳を迎えるのは小学5年生で、このあたりから成人としての人格形成が始まり、性格が大きく変わるように感じられます。18歳が19歳になっても、それ程変化するとは思えません。
以上はあくまで私の推論ですので、一つの提言としてとらえてください。いづれにしても、子供を理解・指導する上で、月命星は確かな指針となり得ます。(2017.12.14)
寅・巳・申・亥 | 丑・辰・未・戌 | 子・卯・午・酉 | 歳 |
---|---|---|---|
二黒土星 | 五黄土星 | 八白土星 | 2月(立春~) |
一白水星 | 四緑木星 | 七赤金星 | 3月(啓蟄~) |
九紫火星 | 三碧木星 | 六白金星 | 4月(清明~) |
八白土星 | 二黒土星 | 五黄土星 | 5月(立夏~) |
七赤金星 | 一白水星 | 四緑木星 | 6月(芒種~) |
六白金星 | 九紫火星 | 三碧木星 | 7月(小暑~) |
五黄土星 | 八白土星 | 二黒土星 | 8月(立秋~) |
四緑木星 | 七赤金星 | 一白水星 | 9月(白露~) |
三碧木星 | 六白金星 | 九紫火星 | 10月(寒露~) |
二黒土星 | 五黄土星 | 八白土星 | 11月(立冬~) |
一白水星 | 四緑木星 | 七赤金星 | 12月(大雪~) |
九紫火星 | 三碧木星 | 六白金星 | 翌年1月(小寒~) |
- 月命星の性格は、成人後も2割程度は内在し続けると考えられます。
ここで一応、厳密な点を補足しておきます。紛らわしいのは「節入り」当日に生れた人で、節入りの時刻前に生れている場合、前月の九星となります。時間も標準時ではなく、自然時を適用することが望ましいと思われるため、明石より東は時刻が早くなり、西は遅くなります(東京で+12分程度)。特に立春当日は生れ年の九星に影響しますので要注意です。
それから、旧暦の閏月の関係で、立春を過ぎてもなお、旧暦の12月が続いている年があります。12月中は前年の九星の影響が残りますので、二月上旬の生れの方は確認して下さい。
また、一日の始まり(子の刻)は0時ではなく、前日23時からです。従って23時以降の生れの人は、翌日を誕生日とみなすことになります。これは東洋占術の基本的なルールです。
作曲家でピアニストの金澤攝氏は数千人におよぶ作曲家と、その作曲家たちが遺した作品を研究対象としています。氏はその膨大な作業に取り組むにあたって、「十二支」や、この連載で主にご紹介する「九星」を道しるべとしてきました。対人関係を読み解く助けとなる九星は、作曲家や、その人格を色濃く反映する音楽と関わるに際して、新たな視点を提供してくれるはずです。「次に何を弾こうか」と迷っている方、あるいは「なぜあの曲は弾きにくいのだろうか」と思っておられる方は、この連載をご参考にされてみてください。豊かな音楽生活へとつながる道筋を、見出せるかもしれません。 (ピティナ読み物・連載 編集長)