音楽における九星

第一部<第5回>相生I ─ ドビュッシー、ラヴェルを中心に1

2017/10/27
◆ 第一部
<第5回>  相生 そうしょう ─ ドビュッシー、ラヴェルを中心に Ⅰ

ここから相生関係について具体的に見ていきましょう。まずモデルとして、近代フランスの両雄・ドビュッシーとラヴェルを軸に考えてみます。

この二人は似ているようで、本質的に違います。 21世紀も半ばに近づき、彼らがいつまでも"近代"である筈はないのですが、問題は彼らの時代全体を「印象派」と信じている人が多いことです。 しかし私が調べた限り、音楽における印象派というのは、ドビュッシーを除けばほとんど有名無実です。 セヴラックやラヴェルは明らかに「具象派」ですし、近代和声に基づく描写音楽が多く描かれた時代、くらいに考えた方がいいようです。

ドビュッシーが三碧木星だったことは前に述べました。彼に共振し易いのは水・木・火ということです。 勿論、土星や金星生れにもドビュッシー愛好者は私を含めて多くいますが、これはまた別の条件の働きが加わるので、ここでは原則を述べておきます。

ラヴェルは八白土星です。 即ち火・土・金と繋がります。

どちらにも接点を持つのは九紫火星のみとなりますから、全体の8/9にあたる大部分の人が、大雑把に"ドビュッシー派"と"ラヴェル派"に二分できることになります。

実際にラヴェルにとってドビュッシーは敬意を払う先輩ではあっても、個人的にはストレスを感じさせる存在だったことは察しがつきます。

そんな二人に違和感なく向き合えた九紫の人に、マルグリット・ロン、エルネスト・アンセルメ、ヴィクトール・デ・サバータらがいます。 そして何よりも両者にとって幸運だったのは、作品の主力出版社主、ジャック・デュランが九紫火星だったことです。 デュランが九紫でなければ、彼らの今日のメジャーぶりはなかったかもしれません。 少なくとも、二人が並び称されなかった可能性は大です。

さて、ここにドビュッシーのチェロソナタを弾きたいチェリストがいるとします。 彼は四緑木星です。 ピアニストはどの生まれがベストでしょうか。

作曲者、本人共に木星ですから、当然水の一白、木の三碧・四緑、火の九紫の人を探せばいい訳です。 同一の九星は三碧の場合、やや不安定ですが、穏健な四緑同志は良好な関係を維持しやすいのです。

あと、本来は相剋ながら、唯一の例外として、八白土星があります。 四緑と八白に限っての特殊な関係性は覚えておいてください。

「木剋土」なのに、なぜ調和が生じるのか、その理由について触れている書を知りませんが、四緑は成長しきった老木であり、八白は水分を含まない砂のイメージがあることから、"養分"を吸収されるダメージがない状態で木を支えられるからではないか、と想像します。

三碧はこれから延びようとする若木ですから、思うように養分を吸い取れない八白に苛立ちを感じます。(2017.10.10)


◆この連載について
作曲家でピアニストの金澤攝氏は数千人におよぶ作曲家と、その作曲家たちが遺した作品を研究対象としています。氏はその膨大な作業に取り組むにあたって、「十二支」や、この連載で主にご紹介する「九星」を道しるべとしてきました。対人関係を読み解く助けとなる九星は、作曲家や、その人格を色濃く反映する音楽と関わるに際して、新たな視点を提供してくれるはずです。「次に何を弾こうか」と迷っている方、あるいは「なぜあの曲は弾きにくいのだろうか」と思っておられる方は、この連載をご参考にされてみてください。豊かな音楽生活へとつながる道筋を、見出せるかもしれません。 (ピティナ読み物・連載 編集長)
【GoogleAdsense】
ホーム > 音楽における九星 > 第一部> 第一部<第5回>相生...