クルターグ・ジュエルジュとマールタ夫人、フランコ・ブイトニ賞受賞
Rep.降矢美彌子(宮城教育大学名誉教授)
2017年2月19日、クルターグの91歳の誕生日で、夫妻の結婚70周年の日に、クルターグ・ジェルジュと、マールタ夫人は、音楽界への著しい貢献と長きにわたる献身的な音楽のパートナーシップにより、フランコ・ボルレッティ・ブイトニ賞(BBT)を受賞しました。(賞金は、3万ポンド) この賞は、2002年にフランコ・ブイトニ(Franco Buitoni:1934-2016)が妻のイラリアと共に設立したものです。
ブタペストで、イライア・ボルレッティ・ブイトニは、BBTの受託者である内田光子とともにこの賞を夫妻に授与しました。イライア夫人は、「私の夫は、フランコは、昨年8月に亡くなりました。私は、夫の長年の音楽に対する愛と支援を誇りに思い、また、内田光子氏が選出したこの賞に値する音楽家クルターグ夫妻を尊敬します」と語りました。
'内田は、「クルターグの音楽を考える時、激しい、神秘的な、暗い、異世界が心を打ちます。彼は自身のインスピレーションと激しい情熱に従います。一方、の音楽を通して輝く深い愛も感じます。これは彼の妻、マールタとの特別な関係の表出であるかもしれないでしょう。クルターグ夫妻の演奏を聞いたことがある人なら誰でも、彼らの4手連弾から輝くような深い愛が届けられるのを知っています。偉大な作曲家クルターグは、素晴らしいピアニスト、マールタ夫人とともに音楽を創るのです。彼らは一緒に音楽を生きています。以上の理由で、フランコ・ブイトニ特別賞はクルターグとマールタ夫人に贈られます。クルターグの91誕生日であり、結婚70周年の日にこの賞は採択されました。我々は、この二重のお祝いをすることを光栄に思います。」と語りました。
BBT賞は、2003年に授与されてから、世界中の音楽家やアンサンブル100名以上に授与されています。
なお、クルターグ・ジョルジュの最新作オペラ、サミュエル・ベケットの台本「勝負の終わりに」(Fin de partie:1957年)の試演会が1月31日に、歌い手で、助手も務めるアルノー・アルベット(Arnaud Arbet)と2017年ダペシュト・ミュージック・センターで行われました。「勝負の終わりに」は、2010年から作曲され始まりました。初演は、2018年ミラノのオペラ座の予定です。クルターグは歌詞や、音楽の背後にある音の相互の関係、ダイナミクス、アーティキュレーションなどについて助言をし、クルターグやマールタ夫人だけが知りうる作曲上の秘密についても語リました。