会員・会友レポート

ロベルタ・ピリ(ピアニスト) インタビュー

2011/02/10
ロベルタ・ピリ
ロベルタ・ピリ インタビュー

〔インタビュアー:小路里美(ピティナ演奏会員)

─ 今回は2度目の日本公演との事ですね。以前の来日から間が空いたのですが、日本に対するあなたの印象、日本への期待、日本で今回やりたい事は何でしょうか?

最初の日本公演といえば、今も暖かくフレンドリーな日本の聴衆の方々の思い出とつながっています。
日本の方々はとても芸術的志向を持ち、西洋の音楽伝統に対してオープンに受け入れて下さています。一人の芸術家として、私は日本の方々の個性、在り方に多くの敬意を持っています。

日本の聴衆の方々には、東京と大阪のコンサートをお聴き頂く事によって、新たな感動を見出して頂ける事を心より願っております。

ベートーヴェンの偉大な後期5曲ピアノソナタのようなピアノ音楽への理解が必要不可欠な作品を旧奏楽堂という場所で演奏できることを、―フランツ・リストの高弟ハンス・フォン・ビューローやアントン・ルービンシュタインの歴史的コンサートの系譜に連なる芸術家として―嬉しく思います。

日本で個人的にやりたいことといえば、合気道の実演を鑑賞することです。合気道と真に芸術的なピアノ演奏には多くの類似点があると思います。例えば『腹』つまり身体の中心から力を出す動作は合気道と、調和のとれたピアノ奏法いずれにおいても、基本となっています。自由な演奏、音楽の楽しさを聴衆に伝えるための技術が、ここにあります。

─ 全くその通りですね。私が最初にウィーンでお世話になったのはピカソの弟子であった画家で今はお亡くなりになっているトニオ・ナテリでしたが芸術は身体の中心から湧いて出て来るものなのだよ、と常に言っていました。ところで、あなたは音楽一家に生まれて最初はお父様からピアノを習われたのですが、父と娘のピアノのレッスンは如何でしたか、そして何を学ばれたでしょうか?

そうですね、私の父が私の最初のピアノの先生でした。私のピアノを愛する気持ちと、絶対音感の才能を見出してくれました。練習に対する基本的な姿勢を教わり、特に音楽に対して大きな謙虚さを持って接しなさいと教えてくれました。

─ それは本当に大切な事ですね。「素直な人は才能を大きく伸ばす事が出来る」とよく言いますね。ところで今回は大阪と東京での大きなプログラムを披露してくれますので、ファンの方々も期待しておられると思います。そして興味深いのが「ポリフォニックとウルトラポリフォニックピアノ演奏」そしてルリウェリン先生がおっしゃった「ピアノでのヴィブラート奏法」です。勿論、レッスンの場でそれを説明し伝えて頂けるとは思いますが、この場をお借りして今回マスタークラスを受講される方々に、少し説明して下さいませんか?

私のワークショップとマスタークラスの特徴は現代に忘れられつつある音楽の伝統を生徒の方々に伝える事にあります。生徒たちは根本的なピアノテクニックに関する正しい知識と理解をすることが必要です。すべての困難は、身体のエネルギーと効率的な動きを分析することによって克服されます。生徒たちの音楽技術の習得はポリフォニー演奏の技術から導きだされます。

最終的には、ポリフォニックな演奏によって楽譜の完全な理解に至ります。演奏の最終目的は音を創り出すこと、響き渡る楽器の一番上の音、所謂ヴィブラートのかかった音を作る事に注目したいと思います。ウルトラポリフォニーはポリフォニー演奏をマスターした上での課題として扱われます。フランツ・リスト、アントン・ルービンシュタイン、フェルッチオ・ブゾーニ、セルゲイ・ラフマニノフ、ヨーゼフ・ホフマン、シューラ・チェルカスキーの様な往年の巨匠たちの伝統を継承するものです。

─ ルリウェリン先生が、今回あなたのマスタークラスを通じて日本の皆様にそれらについてお伝え出来るのはとても嬉しく良い機会だとおっしゃいました。そして、あなたがピアノ学習者にとって愛される先生であろうと、確信しておられました。
最後に日本の聴衆と生徒の方々にメッセージをお願いします。

来日をとても楽しみにしております。素晴らしい音楽を皆様と共有し、二度とない経験が出来る事を喜んでいます。そして生徒の皆様にはポリフォニー演奏について、より理解し学ぶ事により一人一人のピアノ演奏を見出し、それによってご自身の芸術家としての個性を見出す手助けが出来れば嬉しいです。

(有難うございました。今回の日本公演とマスタークラスを通じて、あなたに大勢の方々との出会いがあります様にお祈りしています。)

ロベルタ・ピリ氏が共にポリフォニー研究を続けているダフィッド・ルリウェリン先生は、シューラ・チェルカスキーの唯一の個人レッスンを受けていた生徒です。

コンサート情報

ロベルタ・ピリ ベートーヴェン後期5大ピアノソナタの夕べ

ロベルタ・ピリ フランツ・リスト生誕200周年記念コンサート

◇ロベルタ・ピリ ピアノワークショップ

(参加費 1名 5000円)
テーマ:ポリフォニックとウルトラポリフォニックピアノテクニックについて
・2月21日(月)新宿区クララ音楽教室(地図
 〒162-0801 東京都新宿区山吹町261 ト リオタワーセントラル3F
 13時~17時 TEL.03-3260-5574
 有楽町線 江戸川橋駅から徒歩5分
・2月23日(水)荻窪 かん芸館(地図
 〒167-0051 東京都杉並区荻窪3-39-14 13時~17時 TEL.03-5347-2668

    

*個人レッスン希望の方は60分15000円 (通訳付き) 2月22日(火)
 場所はTEL.080-3732-4300までご相談下さい。

http://shojiseichu.art.officelive.com/Programm.aspx


ピティナ編集部
【GoogleAdsense】
ホーム > 会員・会友レポート > > ロベルタ・ピリ(ピア...