2009浜コンレポート

浜コン:ファイナル2日目レポート&最終結果発表!

2009/11/22
浜コンはいよいよコンクール最終日。後半の3名が演奏した後、1時間強の休憩のあと、最終結果が発表されます。

29 HUH Jae-Weon(韓国、22歳)ヤマハ
・ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18

1次予選から、一貫して高い技術と清清しい音色を聞かせているピアニスト。色彩は少ないのですが独特の伸びのある音質と、強靭なテクニックで、音楽を丁寧に描いていきますが、第1楽章は、やや慎重な音楽作りが窮屈に感じられます。第2楽章あたりから、本来の音楽性と音の輝きを示し始め、管楽器などをよく聴きながら、誠実な歌心で聞かせ、一音一音を深く掘り下げてオーケストラと一緒に音楽を追い求めていこうという基本に戻ってこれたところに音楽性の高さを感じさせました。
ホジェウォンファイナル1
ホジェウォンファイナル2ラフマニノフを選んだ理由と今日の感想は?
ラフマニノフの2番をオケと共演したのは初めてです。新しいものをやってみようということで勉強しました。コンクールの前のこの曲の準備は十分とはいえませんでしたが、今日の演奏では、弾きながら涙が出そうになるところもありました。
私の準備は万全ではありませんでしたが、指揮の大友先生が、「君ならできるよ」と常に励ましてくださり、また、オーケストラの皆さんの準備が素晴らしく整って私を迎えてくださったので次第に楽な気持ちになり、私はただ大友先生やオーケストラの皆さんを信じて、それに合わせて一緒に演奏しようと考えていました。


20 Elmar GASANOV(ロシア、26歳)スタインウェイ
・ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43

音色は少ないけれど、やや細い瞬発力のある音とタッチや解釈の面白さで説得力の高い音楽を聞かせてきたピアニスト。ここでも、主題提示から、タッチの独自性と張りのある音で積極的に音楽を引っ張り、コンチェルトではなかなか使いにくい思い切ったディナーミクの幅も効果的に用いて、確信犯的な演奏効果をもたらします。自分の左右の音のバランス、それがオーケストラに対して与えるバランスの度合いをよく知っており、やや歌いまわしや詰まり気味になるリズムなどにナチュラルなフレーズを描かない個性もありましたが、抜群の知性派として、合奏至難のパガニーニ狂詩曲においてファイナリスト最年長の充実した協奏曲を聞かせました。
ガサノフファイナル1
ガサノフファイナル2今日の選曲の理由と感想は?
理由は特にはないのですが、私はラフマニノフとこの作品が大好きですし、オーケストラと一緒に私の感情を聴衆の皆さんに一生懸命お届けしようと思って演奏いたしました。2次、3次予選よりはできたと思いますが、もっとやれたかなという思いもあります。

尊敬するピアニストは?
好きなピアニストは、エミール・ギレリスです。とはいっても、彼を真似しようと思うわけではなくて、彼が真摯な芸術家であるというところを尊敬しています。


36 KIM Hyung-Jung(韓国、18歳)ヤマハ
・ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73 「皇帝」

音楽への強烈な情熱と存在感で、荒削りながらロマンティックな才能を随所に聞かせてきたピアニスト。「皇帝」においても、一音が持つエネルギーの量が大きく、ぐいぐいと音楽に引き込んでいきます。音楽が本来持つエネルギーを、さらに増幅させて聞かせることのできる触媒的な能力を持ち、ややヴィルトゥオーゾ的な解釈で常にオーケストラをリードし、深い呼吸が印象的です。
ただし、つまらないミスが散見し、ハーモニーや左右のバランスがところどころ弱く、音質にも伸びが足りずにオーケストラの中で聴かせていこうと無理が生じてしまっている箇所があるのが残念です。とはいえ、恐るべきパフォーマンスを披露する18歳。コンクールを締めくくる情熱的な演奏に、盛大な拍手が贈られました。
キムヒョンジョンファイナル1
キムヒョンジョンファイナル2今日の演奏の感想は?
3次予選に比べれば、良い演奏ができたと思います。まだうまくできたところもたくさんあると思いますが、満足しています。この作品は、初めてオーケストラと演奏いたしましたが、指揮者の大友先生がとても良くして下さり、励ましてくださいましたし、オーケストラの方々も辛抱強く練習に付き合ってくださったことに、感謝しています。
このコンクールのために、3週間くらい家をあけていますから、今やりたいことは、韓国に帰ってキムチを食べたいですね(笑)。飼っている犬にも会いたいし、友達にも早く会いたいです。


終了後、審査会議が開かれ、18時過ぎより、表彰式にて最終結果が発表されました。

まず奨励賞の発表。受賞は、2007特級グランプリの尾崎有飛さん!ファイナルまで今一歩だったということです。さらなる飛躍が期待されます。
尾崎表彰式

日本人作品最優秀演奏賞は2名。まずは、権代敦彦作品を演奏した、アレッサンドロ・タヴェルナさん。
タヴェルナ表彰式

西村朗作品を演奏したコンテスタントからは、チョ・ソンジンさん。
チョ日本人作品

今回初の試み、聴衆の投票(ファイナルのみ)による聴衆賞は、ロシアのエルマール・ガサノフさんへ!!
聴衆賞ガサノフ

6位から、順位の発表。6位は、アン・スジョンさん(韓国)
アンスジョン表彰式

5位は、キム・ヒョンジョンさん(韓国)
キムヒョンジョン表彰式

4位は、フランソワ・デュモンさん(フランス)
デュモン表彰式

3位は、ホ・ジェウォンさん(韓国)
ホジェウォン表彰式

2位は、エルマール・ガサノフさん(ロシア)
ガサノフ表彰式

1位は、15歳の天才、チョ・ソンジンさん(韓国)。浜コン史上最年少の優勝者誕生です。
チョソンジン表彰式


上位3名の入賞者。左から、2位のガサノフさん、1位のチョ・ソンゾンさん、3位のホ・ジェウォンさん。
上位3名

ファイナルをわかせた韓国のカン・チュンモ先生門下トリオ。左からアン・スジョンさん、キム・ヒョンジョンさん、ホ・ジェウォンさん。
カン先生門下

終了後のパーティにて。恩師のシン・スジョン先生(左)、1位のチョ・ソンジンさんとお母様。
チョソンジン記念写真

明日は、14時より入賞者披露演奏会が行われ、11月7日より続いた浜コンは幕を閉じます。



ピティナ編集部
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