浜コン:1次予選2日目レポート
2009/11/09
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1次予選2日目、今日は平日にもかかわらず、あいかわらず多くの聴衆が詰めかけ、完全にピアノコンクールが市民イベントとして定着したことを感じさせます。途中、地元の高校や大学の生徒でしょうか、引率の先生に率いられて、点呼を取る姿や思い思いの席でコンクールを楽しむ姿が見かけられました。
2日目の参加者のピアノ選択は以下の通り。
72 SATO Motohiro(16) Yamaha
45 Natalia KUCHAEVA(26) Kawai
76 Anna SHELEST(26) Yamaha
--
84 Marie-Helene TREMPE(26) Steinway
12 CHO Young-Hoon(22) Kawai
57 Ksena MOROZOVA(24) Steinway
--
87 Helene TYSMAN(26) Steinway
50 Misael MEJIA(17) Yamaha
41 Dinara KLINTON(20) Yamaha
--
15 Antoine DE GROLEE(25) Kawai
73 Tsu Tham Tommy SEAH(20) Yamaha
23 Andley GUGNIN(22) Steinway
24 Ekaterina GUMENYUK(20) Yamaha
--
86 Samson TSOY(21) Yamaha
04 ANN Soo-Jung(22) Steinway
68 Vlacheslav RONZHIN(21) Yamaha
89 WEI Zhe(24) Yamaha
Yamaha 9名、Steinway 5名、Kawai 3名
(2日間累計:Yamaha 19名、Steinway 10名、Kawai 5名)
2日目のトップバッターは、ピティナ入賞歴も多い、地元静岡の佐藤元洋さん(東京芸大附高1)。16歳での浜松参加は、身近に感じていたコンクールにいつか挑戦したいと憧れていたからとのこと。落ち着いた登場に見えましたが、手のひらには普段以上に汗がたまっていたそう。そんなふうには見えませんでしたが、地元ということで新聞社などの取材も常に多く、見えないところで重圧を感じていたのかもしれません。とはいえ、奇を衒わない解釈ながら細部をクリアに掘り下げていく佐藤君らしさを充分に発揮し、「楽しく弾けました」と話してくれました。即売のCDも人気の売れ行きの様子。
恩師の長谷川淳先生も多忙の中応援に駆けつけ、愛弟子の立派な成長に目を細めていらっしゃいました。演奏後、記念に一枚。
2日目の演奏は、個性的な演奏者が多数登場。
Natilia KUCHAEVA(ロシア、26歳)は、Kawaiから魅力的な音を引き出し、バッハの遠近感・立体感に見るべきものがありました。Helene TYSMAN(フランス、26歳)はコンクール常連。個性的な解釈や大胆なアーティキュレーションで、各作品に濃厚な味付けを施し、調性や作品の性格が許すギリギリの枠内で説得力を作り出します。
今日の白眉は、Dinara KLINTON(ウクライナ、20歳)。前回、ディナーラ・ナジャーフォヴァの名前で奨励賞を受賞したコンテスタントです。前回は1次、2次と圧倒的な才能を聞かせましたが、3次(セミファイナル)で思うような演奏ができず今にも泣きそうにステージから降りてきたのを思い出します。今回は、ずいぶん雰囲気も大人びて別人のよう。音楽も、ぐっと理性的で緻密な作りになり、ベートーヴェンではもう少し以前の彼女の自然な感興を求めたい箇所もありましたが、バッハの至難の5声フーガの精緻で真摯な作り、リストのハンガリー狂詩曲のクリアで鮮やかな処理は、さすがと感じさせました。
夜の部のトップバッター、Antoine DE GROLEE(フランス、25歳)もロン・ティボー5位の実力者。上体を大きく前後左右に揺らしながら、音楽的感興豊かな音を紡ぎだします。ただ彼の本領は、むしろその知的な設計と説得力にあり、緊張と弛緩を自在にコントロールしたハイドンなどで聴かせました。ショパンの幻想曲の最後で時間切れのカットが入ったのは残念。
Andrey GUGNIN(ロシア、22歳)は、音質に今一歩の工夫が欲しいものの、適性をよく理解したベートーヴェンのOp.10-2は聴かせました。Ekaterina GUMENYUK(ロシア、20歳)は、奏者の明確な作品観が出たバッハやベートーヴェンは説得力がありましたが、全予選を通じた選曲がやや平易で、同年齢のKLINTONの内容などを考えると、20歳としてはもう少し高度な芸術表現を求めたいところです。ロシア勢は全体にやや小ぶりながらいずれも好調さをうかがわせる演奏が続いています。
3日目は、今年の浜松国際ピアノアカデミーコンクールの優勝者、韓国の15歳、CHO Seong-Jinらが登場します。
2日目の参加者のピアノ選択は以下の通り。
72 SATO Motohiro(16) Yamaha
45 Natalia KUCHAEVA(26) Kawai
76 Anna SHELEST(26) Yamaha
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84 Marie-Helene TREMPE(26) Steinway
12 CHO Young-Hoon(22) Kawai
57 Ksena MOROZOVA(24) Steinway
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87 Helene TYSMAN(26) Steinway
50 Misael MEJIA(17) Yamaha
41 Dinara KLINTON(20) Yamaha
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15 Antoine DE GROLEE(25) Kawai
73 Tsu Tham Tommy SEAH(20) Yamaha
23 Andley GUGNIN(22) Steinway
24 Ekaterina GUMENYUK(20) Yamaha
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86 Samson TSOY(21) Yamaha
04 ANN Soo-Jung(22) Steinway
68 Vlacheslav RONZHIN(21) Yamaha
89 WEI Zhe(24) Yamaha
Yamaha 9名、Steinway 5名、Kawai 3名
(2日間累計:Yamaha 19名、Steinway 10名、Kawai 5名)
2日目のトップバッターは、ピティナ入賞歴も多い、地元静岡の佐藤元洋さん(東京芸大附高1)。16歳での浜松参加は、身近に感じていたコンクールにいつか挑戦したいと憧れていたからとのこと。落ち着いた登場に見えましたが、手のひらには普段以上に汗がたまっていたそう。そんなふうには見えませんでしたが、地元ということで新聞社などの取材も常に多く、見えないところで重圧を感じていたのかもしれません。とはいえ、奇を衒わない解釈ながら細部をクリアに掘り下げていく佐藤君らしさを充分に発揮し、「楽しく弾けました」と話してくれました。即売のCDも人気の売れ行きの様子。
恩師の長谷川淳先生も多忙の中応援に駆けつけ、愛弟子の立派な成長に目を細めていらっしゃいました。演奏後、記念に一枚。
2日目の演奏は、個性的な演奏者が多数登場。
Natilia KUCHAEVA(ロシア、26歳)は、Kawaiから魅力的な音を引き出し、バッハの遠近感・立体感に見るべきものがありました。Helene TYSMAN(フランス、26歳)はコンクール常連。個性的な解釈や大胆なアーティキュレーションで、各作品に濃厚な味付けを施し、調性や作品の性格が許すギリギリの枠内で説得力を作り出します。
今日の白眉は、Dinara KLINTON(ウクライナ、20歳)。前回、ディナーラ・ナジャーフォヴァの名前で奨励賞を受賞したコンテスタントです。前回は1次、2次と圧倒的な才能を聞かせましたが、3次(セミファイナル)で思うような演奏ができず今にも泣きそうにステージから降りてきたのを思い出します。今回は、ずいぶん雰囲気も大人びて別人のよう。音楽も、ぐっと理性的で緻密な作りになり、ベートーヴェンではもう少し以前の彼女の自然な感興を求めたい箇所もありましたが、バッハの至難の5声フーガの精緻で真摯な作り、リストのハンガリー狂詩曲のクリアで鮮やかな処理は、さすがと感じさせました。
夜の部のトップバッター、Antoine DE GROLEE(フランス、25歳)もロン・ティボー5位の実力者。上体を大きく前後左右に揺らしながら、音楽的感興豊かな音を紡ぎだします。ただ彼の本領は、むしろその知的な設計と説得力にあり、緊張と弛緩を自在にコントロールしたハイドンなどで聴かせました。ショパンの幻想曲の最後で時間切れのカットが入ったのは残念。
Andrey GUGNIN(ロシア、22歳)は、音質に今一歩の工夫が欲しいものの、適性をよく理解したベートーヴェンのOp.10-2は聴かせました。Ekaterina GUMENYUK(ロシア、20歳)は、奏者の明確な作品観が出たバッハやベートーヴェンは説得力がありましたが、全予選を通じた選曲がやや平易で、同年齢のKLINTONの内容などを考えると、20歳としてはもう少し高度な芸術表現を求めたいところです。ロシア勢は全体にやや小ぶりながらいずれも好調さをうかがわせる演奏が続いています。
3日目は、今年の浜松国際ピアノアカデミーコンクールの優勝者、韓国の15歳、CHO Seong-Jinらが登場します。
ピティナ編集部
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