100のレッスンポイント

100.勉強に終わりはない!

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2011/11/11

ついに連載100回目を迎えました!
開始したとき、「100まで無事に元気で書き続けること!」が、まず目標でした。

一回も休むことなく(※)書き終えることを感謝します!

毎回ギリギリで粗い文章を校正してくださったピティナ事務局の實方さんに、 深く感謝しています。
そして、毎回読んでいただいた皆さんに、心から感謝しています。
講座で各地にうかがう際、多くの方から「読んでいます」と声をかけていただき、とても嬉しく思っています。

ピアノを職業として「幸せ」だと日々感じて生活しながら、レッスンのポイントを書いてきました。ピアノを習い始めたからには、生涯弾き続けてほしいです。忙しい子供たちも「名曲」が弾けるまでになったら「誰もやめないだろう!」と思います。そこまでの取り組みのヒントになれば、と思っています。

皆さん本当にありがとうございました!

さて、最終回のタイトルは「勉強に終わりはない!」と、決めていました。

学ぶこと、知らないことを知ることや、追求することは、とても楽しい事です。
人生を閉じる時まで終わらないでいられたら、こんなに幸せなことはないでしょう。

この言葉は、シューマンが書いたエッセイの、最後の言葉でもあります。
ご存知の方も多いと思いますが、私がこの文章に出会った時「こんなに分かり易く、強く共感できる事柄ばかりを書いたのは誰だろう?!」と思いました。シューマンの言葉と知って「さすが!!」と、感動したことを覚えています。

このエッセイは曲集「子供のためのアルバム(ユーゲントアルバム)」の楽譜に載せる目的で書かれたものです。日本の各出版社が出している多くの楽譜にも、翻訳されて載っています。

私が気に入っている部分を、少し引用してみます。

・聴く耳をつくりあげることが一番大切である。
・音階やその他の運指法を熱心に練習しなければならない。しかし、それですべてがうまくいくと思って、大きくなるまで毎日何時間も機械的な練習をしている人がたくさんいる。それは、まさに、ABC をできるだけ速く発音しようと骨折っているのとそっくり同じだ。時間を有効に使いなさい。
・つまらなそうな弾き方を決してしないように。いつも新しい気持ちで弾きなさい。
・やさしい曲を立派に美しくひくように努力すること。これは、難しいものを平凡に演奏するよりもずっと良いことだ。
・音楽を楽譜から理解するまでになりなさい。
・一日の音楽の勉強をして、疲れた時には、それ以上の勉強はひかえること。喜びも、気分のよさもなしに勉強するのなら、休んだほうがいい。
・達者とか、いわゆる華やかな演奏というものに、決して惹かれないように。作曲者が心に持っていた印象を曲であらわすようにしなければならない。それを越えると、漫画になってしまう。
・すぐれた大家、なかでもヨハン・セバスティアン・バッハのフーガを熱心にひくといい。「平均律クラヴィーア」を毎日のパンとしてほしい。そうすれば、確かに立派な音楽家になれるだろう。
・大家は研究されることを願っている。大変に年を取ってから、はじめてはっきりとわかって来るということも多いのだ。
・指は、頭ののぞむものをつくるべきであって、その逆であってはならない。他の芸術や学問とならんで、周囲の生活にもしっかりと目を向けよ。道徳の規律は、また芸術の規律でもある。
・熱心さと根気強さで次第に高い段階に到達できよう。
・芸術は、熱中というものがなければ、本当のものは何も成熟されないのである。
・勉強には、終わりというものがない。
(以上、『全音楽譜出版社 シューマン ユーゲントアルバム』より引用)

これらはほんの一部ですが、何度読んでも「もっともだ」と感服させられます。

ひとつの曲を立派にひくために、色々な心を尽くします。
知らないことは学び、考え、それを心で消化して、自分の気持ちを音で現す。
そして出てきた音楽を聴いて、さらに心が豊かに、幸せになる!

ピアノが弾けるって本当に素敵なことです。
皆さんがいつまでも、健康で、美しい音楽と心で毎日を過ごされるよう願っております。
長い間本当にありがとうございました!   

   

池川礼子

※ピティナ編集部注:東日本大震災一週間後の2011年3月18日はピティナの判断により、ウェブサイト上の一切の連載記事更新を行いませんでした。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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