曲を仕上げるとき、「ここまで弾ければ良い」ということはありません。
常に、「まだ美しくなれる」という気持ちが大切です。
「『出来た』と思った瞬間、それ以上にはならない。」というのが持論です。
そして「もっと良く弾かせたい」「上手にさせたい!」と思えば思うほど、出す音、一つ一つに文句を言うことになります。
気に入らない、想像とは違う音が出てくると、言わざるを得ないのです。しかし、言われている方は辛いと思います。
もちろん、止まらず弾けるだけで「上手!良く頑張ったね」とほめてあげる人もいます。レベルに合った目標は、人それぞれで当然違っています。
生徒自身も「より美しく」を目指す場合には先生と「利害」が一致し、追求が始まります。それでも、いちいち止めてアドバイスをすることに、心は痛みます。「どうして、こんなに文句を言うと思う?もっともっときれいになると思うからよ!先生が感じている美しいレベルがもう少し高いところにあるの」と、説明することがあります。
美に対する憧れは無限で、生徒の可能性も無限です。「ここまで」と決めることで「そこまで」になってしまうのではないでしょうか?
確かに同じ曲をピアニストが弾いたら遥かに上手!同じ曲ですから、その演奏に、近づこうと思うと、出来ていないことや、しなくてはいけない事、気づいて欲しいことは山積み無限にあるはずです。それをどう伝え、どう練習させるか?
「追求心」「探求心」を芽生えさせ、上手になりたい「意欲」。それを持たせることが、大切でしょう。
立派な花を咲かすための「肥やし」を上手に与え、その花を咲かす事を楽しみに育てることに、似ていると思います。
親ほど、生徒について多くのことを知っているわけではありませんが、指導者はピアノを通じて、その芸術の無限の美しさに対して貪欲に追求し、花を咲かせてあげたいと思います。
たぶんそれは、ピアノだけでなく人間として大きな花を咲かせることになると信じて!
何でも、可能性は無限です!
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.piano.or.jp/mt/mt-tb.cgi/10887