以前「オンリーワン!」という歌詞の歌がはやりました。
当たり前に、人はそれぞれ違います。そして特に芸術では、個性というものが必要です。
ピアノの場合は心、指、演奏技術も、もちろん一人ずつ違います。その結果、生まれてくる音は同じピアノからでも全く違います。
それぞれの個性をうまく演奏に出せるよう、日頃から意識すると良いと思います。 (不得意とする弱点も強化していくことも忘れずに)
日々の練習では、どんな曲でも、好きなところを見つけて、自分の一番の音や想いで弾く事を試してみてください。
難しいところほど、曲の盛り上がるところである事が多く、作曲者の想いのあふれているところです。そこが一番良いなと思ったら、そこは「誰にも負けない」「自分が一番」になるよう磨いてください。
ところが、そのクライマックスが子供にとって一番ステキと思っているかというと、意外にそうではない場合も多いです(こちらの意に反して)。
「難しい所ほど良いところ!」とは言いましたが、個性がありますから、違うところが好きという場合でもそれを尊重します。まず「どこが好きかな?」と意識させると、それまで何となく弾いていたとしても、少し考えて、楽譜と対話し始めるようです。
コンクールなどでは他人と競うので、どうしても、「ここ!」と感じるところを、個性的に、表現する必要がでてくると思います。もちろん全体的にも上手なことが前提ですが。
コンクールのように皆が同じ曲を弾く場合、聴く側は、ちょっとしたところで「言いたい事がわかる演奏」が、心に残ります。
たとえ失敗したり、荒い演奏になってしまっても、「その部分」を伝えたくて練習したこと自体は、すばらしい経験となり、次につながると思います。弾くのは過去の作曲家の曲ですが、ピアノを使って自己表現する事が、最も重要です。
コンクールでの完璧な演奏を聴いたときは、それまでの努力に敬意を表します。しかし、そこに個性が加わり、主張のある演奏に出会ったときには、コンクールという事は忘れ、純粋に一ファンになります。
せっかく前回お話した「創造の喜び」を知ってピアノに取り組んでいるなら、より個性的に、「その曲で一番好きなところは、自分が一番上手!」と言えるようにしましょう!
「好きなところ」は毎日出会っている曲の中にも必ずあります!たくさん見つかると良いですね!
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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