「物を創る」という事は、人間だけが出来る最もすばらしいことではないかと思います。
無から何かを作り出す。それは、すごいことです。
たとえば一枚の布が、スカートやワンピースに変わります。時間があった若い頃、ワクワクしながら、作ったものです。
毎日のお料理もそうです。素材を組み合わせ、調味料を加えると、色々なおいしい料理に変身します。
生活を楽にする科学技術、道具は全て人間の頭脳が生み出したものです。最近では携帯電話やパソコンなどが発達。情報を素早く簡単に得られるようになりました。とても便利で欠かせないものになりました。よく創っていただいたものです!人間ってすごいですね。
さて、ピアノを弾くと言う事も、人間が生み出すばらしいものです。この世の中に一瞬にして生み出される、とてもステキなものです。そこにピアノさえあれば、いつでも、すばらしい音楽が生み出される可能性があります。
考えなくても音はでます。極端な事を言えば、猫が鍵盤の上を歩いても音は鳴ります。そのような偶然で出た音は、創ったとは言いません。楽譜を読み、考え感じて創られたものは、聴く人、(鳴らした本人も含め)の心に伝わる、すばらしいものです。
ピアノを弾くことで、すばらしいものを創りだしているという自覚と、自信、喜びを持って良いと思います。学んでいない人には決して出来ない行為です。また、瞬間に消えていく音楽は、はかなく、貴重で、人の心に深く刻まれるものです。ステキなことですね。
この「100のレッスンポイント」の副題は、「名曲が弾けるまでのヒントとして」とあります。それぞれが今、学んでいる時点でも常に、音楽を自分の指で創りだしています。すばらしい創造をしている事は変わりありません。
しかし名曲と呼ばれる過去の遺産は、人への伝達力が強く、感動的なものです。創造できる事をすばらしいと思い、継続して、生涯ステキなものを創り続けて欲しいと思います。
お料理と同じで、ほんの少し塩加減を変えたり、良い香りのスパイスを加えたりすることで、すごくその料理がおいしくなる事があります。
演奏でも、ほんの少し「ここがステキ!」と思うところの音色を変化させたり、ピリッとしたアクセントや、軽快なスタッカートを加えるだけで、生き生きとした新鮮な曲に変わることが多いです。
そんなことを楽しみながら、毎日ステキな音楽を創れることは、とても幸せなことだと思っています。
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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