100のレッスンポイント

081.他の楽器を知って音の引き出しをたくさんもとう!

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2011/07/01

いろいろな音を出す事が可能になった今日のピアノ。どんな音を出したいかが、演奏の良し悪しにとても関係してきます。

優しい感じの音や、キラキラした音、冷たい音、暖かい音、など、想像するほど音色がありえるという話をしましたが、楽器の音を想像して、音の感じを考えることも多いと思います。

ショパンのような例外もありますが、ほとんどの作曲家は、ピアノ曲だけを作ったわけではなく、オーケストラ作品なども作曲しています。

ピアノは「楽器の王様」と言われます。メロディーも伴奏も、一人で出来るからでしょう。

ピアノの曲には、ヴァイオリンとフルートが掛け合っているようなところ、金管楽器のファンファーレ、オーボエ・ソロの物悲しいメロディーなどが織り込まれていると思える事が、よくあります。

もちろんそれらの楽器の音そのものは出ませんが、ある楽器を想像し、その気になって、それらしく演奏した時、いろいろな音色がさらに生まれその曲が生きてくると思います。

そのためにも色々な楽器の音を聴き、それぞれの音を楽しんでいると良いですね。もちろんなるべく生で。ピアノの音のように単一の音ではない、オーケストラの音。いろいろな楽器が織り成し出来上がっている一つの音楽。

これだけ音の質が違うと、いっぺんに聴こえても、各メロディーが苦労せず立体的に聴こえてきます。でもそこにはやはり、指揮者による絶妙なバランスや音楽性があって、すばらしい音楽が創られるわけです。

ピアノでも、オーケストラの楽器のように違う音色を持ち、自らが指揮者となって、指先に指示を与えられるような感覚が必要です。

色々な楽器を聴いて、心の中に音質の引き出しをたくさん持ち、必要に応じてその感じが引き出せることは、まずは単純に、わかりやすい音楽になる秘訣ではないかと思います。

そして、だんだん上達した時、作曲者が思い描いていた、オーケストラのようなピアノ演奏が期待できると思います。

ピアノを習っていても、ピアノの演奏会すらなかなか足を運ばない人もおおいのですが、オーケストラの演奏会やオペラは、ぜひたくさん聴いて欲しいです。

スケールの大きい音楽に感動する経験はピアノを上達させるだけでなく、心を豊かにします。音楽を演奏できることが幸せだとも感じることになるはずです。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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