人間、目標なしにはモチベーションを上げられないものです。
ピアノを教える上で出会った子供たちには、音楽を好きになって生涯ピアノを弾き続け、世に残っているすばらしい名曲の数々に触れてほしいと願っています。
指導者はそのために、長い年月かかって少しずつ技術を高め、曲の良さがわかり(読譜)、自分で音楽を作れるようになるように導いていかなければならないことを知っています。
しかし、当人たちは、今していることしか考えられません。
難し過ぎる曲に憧れ、すぐに弾けなくて嫌になったり。
逆にいつまでたっても楽譜を読むのがめんどうで、先生に弾いてもらってやっと弾けるというタイプの人もいたり。
でもどんな人でも、続けていたら必ず名曲にたどりつくはずです。
やめたくない(やめさせたくない)場合は、早く「名曲を弾けるようにしてあげる」と良いのかもしれません。
ともかく、その時その時を大切に、少しずつ、今やっている曲で足りないことを補強し、持っている技術で楽しめるように弾かせてあげたいものです。
そこですべての(レベルの)人に言えることは、毎日「小さな目標をもつ」ことかなと思います。
コンクールやステップや発表会など人前で弾くことも、もちろん目標です。
その日に向かって、少しグレードが高い曲を仕上げる為の工夫や努力は、上達には欠かせません。
いっぽうで、毎日の練習でも小さな目標を持つことをおすすめします。
たとえば、まずは回数。「この部分を3回、左手だけを2回」などと決めて取り組むのも小さな目標です。
テンポ ?=60で弾けたら、次は?=70。いずれは100というふうに上げていく(一回の練習の中で)。
69でも述べましたが。そういう時には400マスという道具を使っています。1曲(あるいは部分練習の何小節でも可)弾くと1マスぬり、400マス達成してきれいに色塗りをしたら景品がもらえます。
現在の最高記録は130枚くらいです。だいたい小学校の高学年くらいになると使わなくなりますが、今のところ、枚数に比例して上手です。たくさん弾いたことと、マメさが秘訣かもしれません。
たくさんの曲に出会うこともステキな事ですので、「今週何曲弾いたか」ということも、とてもよい目標になっています。その曲が合格するごとに100マススタンプを貼ります。これは、1500曲以上に達している小学4年生の生徒がいます。今、もっとも期待しているマメピアニストです。
片手で弾けたら両手にしよう。ゆっくり味わえたらテンポUPも挑戦しよう!と、その人の今にあった目標を明確に伝え、自身が目標を達成しようとがんばっていると、いつのまにか大きな目標を達成できていて、その成長が判明します。1年ごとの発表ではいつも前年と比べてびっくりします。
コンクールの結果にも当然つながっています。
本当に気の長い話ですが、音楽は、生涯関わって損のない、幸せな事です。日々楽しく、モチベーションを上げる練習の積み重ねを大切にしたいものです。
子供には(大人にもかな?)目標とごほうびが必要かも。
レッスンが終わったらアメがもらえる。マスをうめて持ってきたり、何か提出するとプレゼントがもらえる。それも励みになるようです。
そして時には、何かが「もらえない」というのも効果があるようです。
コンサート直前なのにまったく仕上がっていない子が、2日間でびっくりする程弾けるようになりました。
どうやったら弾けたのか?尋ねたら...ちょうど遠足があったそうで「弾けないなら遠足には行かせません。お弁当を作りません!」とお母さんが言ったそうです。
さあたいへん。「火事場のバカ力」のようなものでしょうか。信じられないありえない程の進歩でした。
2日間でこれだけできることを毎日したらどんなに上手になるかしらと期待しましたが、なかなかそううまくはいきませんでした。
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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