いろいろ、効率の良い練習をお勧めします。
何も考えず、工夫せずに最初から最後まで通して弾く練習が、最も遠回りかもしれません。
石橋をたたいて渡るタイプのAちゃんは、いつもゆっくりと間違わないテンポで弾いてきます。散歩をしてもかけっこは早くなりません!筋トレにもならないし、速い曲ではイメージが合わないはずです。
一方のBちゃんは、何でも適当にさっさと弾いてしまいます。頭を使わず、指が勝手に動いてしまう感じです。この場合は曲を「味わう」ことができず、とても残念です。
実は、この2人は導入の時期(3歳)に、同じグループでまったく同じ指導を受けました。性格が違うとこんなに練習の仕方も異なります。できれば「足して2で割りたい」ところです(笑)
ある時期に「回る指」を作る事は必要です。そのためにはリズム練習などを取り入れることも良いと思います。色々なリズムで弾いていると、必ず速いところと遅いところがあります。結果として意外と速く指を動かすことになります。その上、面白いリズムに心が弾むと、リズム感も良くなります。飽きずに練習がはかどることもあります。
ただし、リズム練習もただしてれば良いというものではありません。リズム練習をした後はぜひ、明らかにスムーズになった実感と喜びを持って弾いて欲しいです。知らない間に時間も経っていて、実際の練習量も当然増えます。
速い曲がテクニック不足で弾けない時も、やはり練習量が必要なことがあります。
その時には、ある部分を(全部でもよいですが)3段階くらい速さを変える練習も有効です。
最後には、実際よりも速いテンポで弾いておくと良いでしょう。
テンポアップも目標を持っていると、やりがいがある楽しく達成感のある練習になると思います。
逆にゆっくりの練習も、当然クオリティーを高めます。「考え(K)て、音を出して聴く(K)」そして、その結果どういう風に「感じ(K)たか」この3Kを意識するため、ゆっくり弾く。
理解し、感じて弾くには「ゆっくり」という行為が重要です。「ゆっくり」を繰り返していくうちに、本来のテンポに戻したときにも、その行為が意識されるようになると思います。
生徒には「音と音の間に、世界一周するくらいの時間を感じる」くらいの気持ちで弾いて欲しいと言います。とても現実離れをしていてジョークにしか聞こえないかもしれませんが、脳が信号を送るスピードというのは、もの凄い速さだそうです。そのように「感じて」音を聴くことは可能ではないかと思っています。
そのためにはゆっくり弾いて、「理想を考え実行できているか」判断するプロセスを経る必要があると思います。
「ゆっくりでも弾けないのに速く弾けるはずがない!」と思います。確実に仕上げるためには、ゆっくり確認しながら弾いてみる事が大切です。
時と場合によって、そして性格に応じて、ある部分をゆっくり、もしくは速く弾いたりして、もっている曲を理想に近づけて欲しいと思います。
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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