人からものを学ぶ時、最も大切なのはその人の話を「聴く」ということです。
人の話を聴いているかいないか?
ピアノのレッスンの場合はすぐわかります。
聴いていないと、次にまたまったく同じ事をします。もちろん技術的にすぐに出来ない場合もありますが、多くの場合は、ボーっとしてたり聴いていなかったことが原因です。
個人レッスンですから、「あなたが聴かないで誰が聴くの?」(「誰のために言っていると思ってるの!」と心の中で叫びながら)という事があります。時々「何を今注意したか言ってみて?」と確認すると、やはり聴いていない場合があります。
一番わかりやすい日本語で言っているのに、それを理解しようとしないので「私は英語でしゃべってないのだけど!」などと言ってしまうこともあります。
反応が即、音に出てくるのでわかりやすいです。
人の話を聴き、何を要求しているのか?
アドバイスの内容を試みて、その場で「こうすれば、良くなった!」と確認し、家で確実に練習してくる。これが上達を早めるポイントです。
話を聴いてくれると、どんどん教えたくなります。そして、もっと良い音楽になるためのアイディアも浮かぶものです。
これはピアノに限りません。勉強も同じです。
休み時間に質問に行くと、どの先生も丁寧にとてもよく教えてくださいます。
人間は頼りにされると一生懸命になるものです。
ピアノの先生は、教えたがっています!一生懸命「学びたい」「知りたい」「音楽にもっと浴したい!」と思っている人には、こちらも最善を尽くし、惜しまず教えます。もっと、たくさん教われるよう、心で「聴く」態度を示すと良いと思います。
その基本が「人の話を聴く!」というところにあると思います。
更に「人の音を聴く」ことも大事です。
先生が弾いてあげている時、耳を澄ましていますか?
何を伝えたいのか考えていますか?
言葉で足りない時は、ピアノの音で表せばすぐ伝わることもあります。
ところが、私の演奏が悪いのか??
先生が弾いている途中で、弾こうとする子が多いです。
弾いている途中で、「わかった!そうか!」と、すぐに弾きたくなると言う事もあると思います。でも人の演奏は最後まで聴き、理解した上で自分の音を出す。ほんの少し、考える時間をもってみると、きっとはるかに良くなった音が出るはずです。
ある小3の女の子は、とても良く話が聴けます。こちらの話が理解でき、即音で返してくれます。出会ったのは、幼稚園の年中の終わりくらいでしたが、その頃から中学生くらいの理解力がありました。
4年経っていますから、当然、もっと効率の良いレッスンが出来ています。こちらの話を理解した上で、自分の「こう弾きたい」という部分も加わりますから、とてもよく育っています。まだテクニックは不足していますが、楽しみです。でも、他にもやる事がたくさんあってピアノのための時間が取れず、今より難しい曲に取り組むために必要な、時間をかけた部分練習などが少なくて、曲の完成度が落ちるかな?という不安もあります。
しかし時間がないだけに、レッスンの時間を有効に使って理解し、直してくれるという力はこれからも多いに役立つはずです。
いっぽう、その子のレッスンを見ることになった5年生の子がいます。彼はとても音楽に想い入れがあり、ステキなピアノを弾きます。しかし、レッスンの効率が悪い!
彼女に続いてのレッスンで、私もそのことを確実に認識しました。
彼女はたいていの場合、2回同じ事は言われません。そして、次に同じ事が出てきたときも直します。
彼は同じ事を3?4回言われてようやく理解してくれるようです。
言われる回数を1回にして、3回違う注意を受けたら「もっともっと上手になるはずなのに」と思います。
他人の様子をみて、自覚できると言う事もあります。「お友達のレッスンを見る機会はとてもよい刺激だろう」と、今後を楽しみにしています。
ちなみに、彼は3年連続してピティナのコンペで決勝に行っています。彼のピアノに対する想いは、人の心を打つのだと思います。
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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