楽譜に書かれている音楽を音にするということは、平面を立体にするくらい、異なるものに変えることです。
一つ一つの音を今、現実に空中に生み出していく。
音は空中に生まれては消えていきますが、人の心の奥に伝わり、消えないこともあります。
何百年か前に生まれた楽譜が、時を経て受けつがれ、今、音になる。その事自体にロマンを感じませんか?
当時の作曲家は、どんな考えでこれを書いたのか?
昔の人と楽譜を通して会話をしているようです。
音とリズムとハーモニー、更に楽語などのメッセージによって、より作曲者の意図を知る事が出来ますが、それ以上の細かい指示は楽譜には書けません。あとは演奏者の考えを加え表現してくださいと言うことでしょう。「こうでしょうか?」と尋ねるわけにもいきません。そして、音楽を伝えるのは、今生きている人から人へです。
空中の振動によって、リアルタイムに、何が伝わるでしょうか?
その人の心が伝わる気がします。
ステキな音楽を表現する時、夢の世界の中に入っていくような気がしませんか?
自分の音を聴きながら、楽しくなったり悲しくなったり、「きれい!」とにんまりしたり。
夜寝る時、心の中で、今気に入っている曲が鳴り続けることがあります。心の中では自由です。いくらでも表現は膨らみ、音は冴えて(想像の中では)、限りなく美しい理想がそこにはあります。
指導者も演奏者も、この理想の世界と、現実のギャップを埋めるために、何をすべきかを考え実行していけば、理想に近づいていくと思うのですが。「こう弾きたい」という理想がないことには、間違いなく弾けたことで満足することになりがちで、残念です。
夢の世界で、天使たちが歌っているような清らかな音、考えさせるような不吉な和音。
忍び寄る影、「何が起こるかな」という期待!!
想像の中で、いくらでも、理想のレベルは上げられます。届いたと思ったら更に理想は高くなり、また追いかける。
その過程が楽しいと感じると、幸せな練習が出来ますね。
理想は絶対に下げす、美しさの限界も決めたくないですね。
「まだもっと」と理想を掲げ続けることにより、よりすばらしく人を感動させる演奏ができるのだと思います。
今、まさにコンペシーズン。
理想は高く、生徒をそこに引っ張り上げようと悪戦苦闘中。
表現を含めて、すごく美しい音に出会ったらどうなると思う?と生徒に聞くと
「鳥肌が立つ!」なるほど!
「感動する!」そのとおり!
もう一つ、私が思っていること・・それは?
宿題にしました。皆さんもお考えください。
武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。
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