100のレッスンポイント

018.ペダル

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2010/04/02
♪試してみよう
本文でもご紹介しているペダル練習方法の動画を掲載します。ペダルを離す&踏むタイミングのコツをつかめば、美しい響きが得られるようになります。

ペダルは、ピアノの音を素敵にします。
でも美しく踏むためにはテクニックが必要です。

近ごろは、小さい子供でも踏める補助ペダルが改良され、早くからペダルの練習が可能になってきました。幼稚園児の生徒が弾いた曲を私がペダル付で弾いたところ、その子は、「泣きそう!」と感動していました。「魔法みたい!」という子もいます。感性の豊かな小さな頃に、あこがれを持つことはとても大切なことです。
しかしその次の週には、ほぼ100パーセント、曲のいたるところでペダルを踏んで「音がにごってもお構いなし」ということになります。

よく、「ペダルは耳で踏む」と言います。まったくそのとおりです。
ですが、その「耳」も成長が必要です。
成長をただ待っていると、せっかくの「あこがれる」感性が強い時期を逃してしまうかもしれません。
ペダルを上手に体験していくことで、「耳」も育ってきます。

まず、ペダルを踏む、すねより下、足のつけ根前側の筋肉を強化します。日常あまり使われない部分ですから、あまり力がありません。いきなりペダルを使わせると、かかとを上げて踏んでしまう人がいます。
これを防ぐために、ペダルを踏む曲に出会う数週間前から、意識的に、かかとをつけた右足でリズムをとる練習をします。16小節程度の曲でも、結構効きます。うさぎ跳びをした時のような疲労を感じるかも。

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そして曲の中でペダルを入れていくときは、はじめから「レガートペダル」の練習はさせません。長い音を響かせるために加えるか、分散和音のところだけ踏む練習をします。
それに慣れてから、レガートペダルです。
ペダルが下手な人は、このレガートペダルを踏むタイミングに問題があります。
まずは、踏みかえ時、ペダルを離す時の音の練習をします。譜例や動画でご紹介するとおり、3拍ずつ、和音で音階を弾いていきます。ペダルはいつも2拍目で踏み、1拍目で離します。この時、ペダルから足を離すのが速過ぎると和音は切れてしまいます。逆に、足を離すのが遅いと次の和音と重なって音がにごります。
上の練習が上手にできるようになってきたら、ペダルを踏むタイミングを2拍目までまたず、一度ペダルから足を離した直後に、また踏むようにします。
ペダルの下手な人は、焦ってしまうのか、音を出すのと同時にペダルを踏んでしまい、前の指がまだ鍵盤に残っていて、音が濁ってしまう人です(もし音が重なったとしても1拍目の主になる音がはっきりして濁っていなければ、それは、混ざるあるいは溶け合う音になり、美しいです!)。
ペダルを踏むタイミングのコツをつかむだけで、とても美しい憧れのペダルが踏めると思います。

もちろん、ゆくゆくは、「深く踏む」「半分くらい踏む(ハーフペダル)」「アクセントのために踏む同時ペダル」「ソステヌートペダル」など、必要に応じてさまざまなペダルを使うようになって欲しいですね。それらは全て、まずは経験して、効果的かどうかよく聴くようにすることです。ペダルを使いこなすごとにいろいろな音に味が出て、よりピアノが面白くなると思います。

★エピソード

かなり大きくなるまで、ペダルを踏まずに練習してきた子は、ペダルに抵抗感を持っていることが多いです。頭から難しいと決めていますので、そこですでに緊張感があり、手と足が、ちぐはぐになります。
逆に、小さい頃からペダルに慣れている人は、やたら勝手に足が動くようで、音をごまかし、ムードばかり先行してしまう人もしばしばいます。でも、やはり、早くから踏みなれたほうが、余分な力みもなくなり、良いと思います。
昔、ロマン派の曲をペダルを使わず、レッスンに持ってきた高校生がいます。まるで古典の練習曲のようでした。尋ねると「曲が仕上がってから、ペダルは入れると教わりました」という答え。びっくり! 仕上がるまでに何ヶ月もかかり、その間に別な音楽になってしまっていますね。ロマン派の音楽はペダルで響きを作ることも重要です。そして、常にロマンを持って、弾いて欲しいですね。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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