100のレッスンポイント

007.手のひらの支え

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2010/01/15
♪試してみよう
本文中にも書いた指(山)つぶしを試してみましょう。テーブルの上などで試すのが良いですね。動画も参考にされてください

10年以上前、ロシアのグネーシン音楽院でのこと。タチアナ・ゼリクマン先生が、日本人の子供(幼稚園児)に向かって「第三関節(指のつけ根)をしっかりさせましょう。そうしないと、家の支えの柱がしっかりしないで、屋根が落ちてきて家がつぶれてしまうのと同じよ」と言って、すごくしっかりした打鍵を、真剣に必死で教えていました。それが幼児相手のレッスン内容というのが驚きでした!

たとえば、ヘンレ版のベートーヴェンの厚くて重い楽譜の本を持つ時、第三関節をゆるめて待てますか?本を持とうとすると、手の甲側に骨が突き出ますよね。その山を引っ込めようとすると、指先に力が入らず、物が落ちそうな感じになるはすです。

「002」でお話した初めてのレッスンで、子供たちは良い手の形を学びました。次に、テーブルの上で「山」のでた手の形を作らせます。そして、先生がその山を押してつぶします!ぐちゃ!!
必ず、全員の「山」がくずれます。「先生が押してもつぶれないお山(支え)を作ってきてね!」というと、次週までに皆しっかりした山を作ってきます。全員が「先生、押してみて!」とせがみ、一生懸命支えを作ります。少しだけ、ロシアの先生に近づいているかな?
第三関節だけでなく、どの関節も強く支えを作っていく必要があります。このしっかりした支えは、なかなか身につきにくいようです。支えがあると楽に音が出るので、無駄な力が入らず、良い音がでます。 この「指(山)つぶし」。某有名音楽高校のレッスン中でも行われていたという話を、聞いたことがあります(笑)

★エピソード
手のひらに山を作るというのは、逆に考えると手の内側の、指の付け根を上げるということです。
そこを意識すると、音が変わります。
もうすぐ音高入試の受験生に、教え初めから言い続けた「良い音で弾く」ことを最後に、もう一度確認。手の裏側を意識させると、音が光りました!コントロール力もつくと、私は思います。

池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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