Vol.12-3 ステージ探訪(3)東京六大学ピアノ連盟企画演奏会
去る5月9日(土)三鷹市芸術文化センター風のホールにて 東京六大学ピアノ連盟 第4回企画演奏会「voyage」~音楽史を旅して~ が開催されました。「世界史×音楽史」をテーマとした「映像×ピアノ演奏」という斬新な試み。毎年違う趣旨で行う「企画演奏会」について東京六大学ピアノ連盟理事の方々にお話を伺いました。
慶應義塾ピアノ・ソサィエティー、上智大学ピアノの会、東京大学ピアノの会、明治大学ピアノの会 KLAVIER、立教大学PIANOの会、早稲田大学ピアノの会、以上の大学ピアノサークルから構成される連盟。今年で結成15周年。
そのままですが、「自分たちのやりたいスタイルの演奏会」というのが「企画演奏会」です。東京六大学ピアノ連盟(以下「六連」)は1年毎に理事が交代となります。1つの代で年間計5回の演奏会を企画運営するのですが、中でも「企画演奏会」はその代の色が濃く出る演奏会でもあります。過去の事例では、六連の歴史を振り返る趣旨のOB合同演奏会、チャリティコンサート、ピティナの金子一朗さんのように六連OBの社会人でピアノ演奏活動を続ける人をお招きしたコンサートがありました。今回は初めて映像を導入し、音楽史と世界史の側面からピアノ曲や作曲者について知ってもらうという趣旨のコンサートとなりました。
「世界史×音楽史」というところでは、まず世界史をまとめるところからスタートしたのですが、ずいぶんと時間がかかりましたね。その後、資料をもとに音楽史、作曲家をそれに当てはめていくような感じでしたが、さらに大変な作業でした。実際に調べて勉強した自分たちの理解度はもちろん高まったのですが、果たしてそれがお客さんに伝わるのかというところが課題だったので編集には四苦八苦しましたね。
取材にご協力いただいた六連理事の(左から)三田啓之さん、門沢弘征さん、沼田理美さん
これから大学に進学する高校生に聞いて欲しいと思っていました。ピアノを弾く高校生の中には、音大に進むか一般大に進学するかを迷っている人が結構いると思うんです。
そういう学生たちに一般大でもこれだけの音楽活動ができるんだっていうところを知って欲しいと強く思っていました。逆に音大では絶対やらないアプローチというのも結構ありますし。そういった意味でも今回は音楽団体からだけでなく予備校などからもご協賛いただきました。
六連はEU(欧州連合)の結成に触発されて発足されたという逸話があります。複数のサークルが集まるということは演奏レベルの研鑽にもなりますが、「できることの幅が広がる」というのが大きな利益ですね。そこで得たものを自分の大学サークルにフィードバックする。六連の活動を通して各大学のサークルをより活性化させることが六連本来の役割だと考えています。
学業やアルバイトを両立しながらピアノを続け、なおかつ複数のコミュニティを束ねる活動まで行う六大学ピアノ連盟のメンバー。これから社会人になってからもピアノ活動を続けること、それは彼らにとってさほど難しくないことかもしれません。
【今後の活動予定】
・2010.05.08(土)第5回企画演奏会 横浜みなとみらいホール 小ホール