Vol.11-2 祝・ピアノ誕生300年 II.ピアノ曲の世界旅行 ロシア/北欧/東欧/南欧
ピアノが誕生して以降、西欧のドイツ~オーストリアを中心に、クラシック音楽の重要な一ジャンルとして、「ピアノ曲」の基礎が築かれます。そして時代の変化、各地の民族文化の影響を受けながら、ピアノ曲は多様化し、世界に広がっていきました。
ドイツ&オーストリア/フランス | ロシア/北欧/東欧/南欧 | アメリカ/日本
1922年~1991年 ソビエト連邦
「ロシア音楽の父」グリンカが、ロシアの地に西欧音楽の種を蒔き、西欧で学んだチャイコフスキーを経て、ロシア音楽界は大きく発展。
ロシア五人組
西欧に留学せず、純粋にロシアの民族的な音楽を追求したロシアの国民楽派。メンバーに「展覧会の絵」の作曲家ムソルグスキー(1839-1881)など。
チャイコフスキー(1840-1893 ロシア)
西欧音楽の古典的形式やロマン派的情緒の上に、ロシアの民族色を融合したロシア音楽の大家。バレエ、交響曲など名曲多数。『ピアノ協奏曲第1番』は最人気。
ラフマニノフ(1873-1943 ロシア)
ロシアのロマン派音楽を代表する『ピアノ協奏曲第2番』は、作曲家としての出世作。ロシア革命後、アメリカに亡命。名ピアニストとしても活躍。
スクリャービン(1872-1915 ロシア)
神秘主義思想に傾倒。晩年のピアノ曲に『詩曲 焔に向かって』。独自の音楽語法を確立され、全体が「神秘和音」で構成されている。
ロシア革命以降、スターリン統治による「社会主義リアリズム」の強制により、前衛的な創作活動は大幅に制限された時代。ストラヴィンスキー(1882~1971)など。
プロコフィエフ(1891-1953)
ピアノの打楽器的な強弱法、風刺的な作風が特徴。『戦争ソナタ』は、第二次世界大戦中に作曲され、戦争を表現したピアノ・ソナタ(6-8番)。
ショスタコーヴィチ(1906-1953)
スターリン政権下中は「社会主義リアリズム」作品との関連が多い。『24の前奏曲とフーガ』は「20世紀の平均律」といわれるピアノの代表作品。
スウェーデンやロシアの支配からの独立運動が背景に含まれる。西欧音楽の様式に、北欧の文化や民俗音楽を加えた、新しい音楽に発展。
グリーグ(1843-1907 ノルウェー)
「北欧のショパン」と呼ばれ、『抒情小曲集』などピアノの性格的小品多数。ノルウェーの大自然など、北欧情緒にあふれた作風。
シベリウス(1865-1957 フィンランド)
北欧神話に基づくフィンランドの文化がベースに。ピアノ曲に、フィンランドの象徴である「樹木」を題材にした「5つの小品 op.75」など。
(ロシア~オーストリア=ハンガリー帝国より独立)
ロシア帝国やオーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあった東欧諸国の民族文化を復興の動き。スメタナ(1924-1884 チェコ)など。
ドヴォルザーク(1841-1904 チェコ)
ブラームスに才能を見いだされ、『スラヴ舞曲集』(ピアノ連弾)で人気作曲家に。チェコの民俗音楽を世界に通用する音楽に発展させる。
民族音楽や言語の韻律を音楽的要素とした新しい音楽。ヤナーチェク(1854-1928 チェコ)、コダーイ(1882-1967 ハンガリー)、シマノフスキー(1882-1937 ポーランド)など。
バルトーク(1881-1945 ハンガリー)
コダーイとともに、ハンガリー民謡採集。東欧の民謡とリズムが感じ取れるピアノ小品集に、『ミクロコスモス』『子どものために』など。
20世紀前期~:スペイン/ポルトガル
長年音楽的に不毛だったスペインでも、19世紀後半からアラブ系音楽の痕跡を強くとどめた民俗音楽に根ざした国民音楽の創造が進められた。ファリャ(1876-1946)など。
グラナドス(1867-1916 スペイン)
「スペインのグリーグ」と呼ばれ、北方の民謡を主に扱った、ロマン的で洗練された作風。代表作「スペイン舞曲」も、スペイン情緒豊かなピアノ曲。
アルベニス(1860-1909 スペイン)
南スペインの民謡や舞曲の素材を盛り込み、スペインや郷愁や情熱を描く。代表作に4巻12曲のピアノ組曲『イベリア』。