ピアノステージ

Vol.11-2 祝・ピアノ誕生300年 II.ピアノ曲の世界旅行 ドイツ&オーストリア/フランス

2010/03/01
ピアノ曲の世界旅行
◆ お話&演奏

ピアノが誕生して以降、西欧のドイツ~オーストリアを中心に、クラシック音楽の重要な一ジャンルとして、「ピアノ曲」の基礎が築かれます。そして時代の変化、各地の民族文化の影響を受けながら、ピアノ曲は多様化し、世界に広がっていきました。

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ドイツ&オーストリア
聴いてみよう!

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シューマン:飛翔「幻想小曲集 op.12」より
17世紀頃のイギリスの民謡に基づく変奏曲。ある時は歌で、またある時は鍵盤楽器だけ、時には合奏などと、様々な様式で演奏されているが、今回はルネサンスオルガンのみで変奏します。10数種類の変奏を通して、次々と音色が変わっていくのをお楽しみください。
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ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(連弾)
ハンガリーのヴァイオリン奏者のレメーニから教わったロマ(ジプシー)の民族音楽に、心惹かれたブラ―ムスは、その地の原作を「編曲する」形で、ピアノ連弾曲にまとめました。21曲からなる舞曲集のうち、この第5番は特に人気で、様々な編成で編曲されています。ジプシー・ダンスならではの、テンポや強弱の激しい交替、細やかなリズム、奔放な雰囲気を、お楽しみください。
Youtube
19世紀前期:プロイセン王国&ワルシャワ大公国/オーストリア帝国
19世紀後期:ドイツ帝国/オーストリア=ハンガリー帝国
20世紀中期:ドイツ連邦共和国/オーストリア共和国
古典派音楽

「ウィーン古典派音楽」とも呼ばれ、クラシック音楽の基本形である「絶対音楽」が整った。貴族の音楽から市民の音楽への移行期。

ハイドン

ハイドン(1732-1809 オーストリア)
「交響曲の父」。動機展開の技法を取り入れ、ソナタ形式を確立。52曲の『ピアノ・ソナタ』を作曲した。

モーツァルト

モーツァルト(1756-1791 オーストリア)
ピアノフォルテの音色参照
幼少期から西欧を旅し、多分野で名曲を残した「神童」。個展形式に豊かな情緒を織り交ぜた『ピアノ・ソナタ』『ピアノ協奏曲』。

ベートーヴェン

ベートーヴェン(1770-1827 ドイツ)
ピアノフォルテの音色参照
ウィーン古典派音楽の完成車であり、難聴をもつ不屈の「楽聖」。32曲の『ピアノ・ソナタ』は「ピアノ音楽の新約聖書」。

前期ロマン派音楽

フランス革命を経て、裕福な市民のための音楽が興隆。絶対音楽の基盤の上に、人間の主観的な感情表現が加えられた。

シューベルト

シューベルト(1797-1828 オーストリア)
「歌曲王」。ピアノ曲『さすらい人幻想曲』は、第2楽章に使われた歌曲(さすらい人)によって全楽章が統一する新手法。

メンデルスゾーン

メンデルスゾーン(1809-1847 ドイツ)
抒情的性格曲として、最高度に甘美で感傷的な『無言歌集』等で、"言葉にできない感情"をピアノで描いた。

シューマン

シューマン(1810-1856 ドイツ)
音の詩人。『謝肉祭』『幻想小曲集』『こどもの情景』等数々の性格的小品に、文学的な発想、幻想的な趣向をちりばめる。

後期ロマン派音楽

ヨーロッパ各地の独立運動が起こる中、ドイツでは音楽の長大化が進み(ワーグナー、マーラー、ブルックナーなど)、一方で新古典派様式も生まれた。

リスト

リスト(1811-1889 ハンガリー)
『ソナタ ロ短調』は、作曲家としての充実期、ワイマールでの作品。リストの元に、保守的ウィーンに対抗する「新ドイツ派」が形成。

ブラームス

ブラームス(1833-1897 ドイツ)
ドイツ音楽の正統的な流れの延長線上に立ち、重厚な構成の中にロマン的な内的心情を表現。『小品集op.116~119』など。

近現代音楽
シェーンベルク ベルク ウェーベルン

美術、建築、哲学、心理学などあらゆる分野で新しいうんどうが起こり、20世紀の学問・芸術が開拓されていく。「新ウィーン楽派」(シェーンベルクベルクウェーベルン)は、ウィーン古典音楽と決別し、現代音楽の基礎を作った3人組。「十二音音楽」を確立。

フランス
聴いてみよう!

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ショパン:革命「12の練習曲op.10」より
故国ポーランドからパリに向かう途中、1831年にシュトゥットガルトで受けた、ロシア軍によるワルシャワ侵攻の悲報。この曲は、その失望感と憤りのあまり、一気に書き上げたとして名高い曲です。左手で繰り返し上下行される怒涛のようなパッセージ、内から込み上がる哀しい叫びのような右手オクターブの旋律。ピアノの詩人ショパンの、祖国を思う気持ちを想像しながら聴いてください。
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リスト:愛の夢(3つの夜想曲) 第3番
当時女性たちの熱烈な支持を得ていたリストの、愛情あふれる夜想曲。ドイツの詩人フライトリヒアートの詩『愛せる限り愛せよ』によるソプラノの歌曲を用いながら、次第に音域を高めながら、冒頭からの甘美なメロディーをドラマティックに歌い上げていきます。
パリのサロン
パリのサロン●ヨーロッパの音楽家や詩人や作家、画家、哲学者など、様々な分野の芸術家がパリのサロンに集い、互いに刺激を与え合う知的な交流の場となっていた。
印象 - 日の出 『印象-日の出』●『印象派』を生みだすきっかけとなったモネの作品。モネは『光の画家』と称され、光の効果を追求し描き続けた画家。
聴いてみよう!

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ドビュッシー:水の反映「映像第一集」より
まるでモネの絵画に見るような、水面に映る光の輝き、微妙な色彩を、ピアノの音で描写した曲です。水そのものの動きというよりは、水の揺らめきに絶えず変化する水面の映像に焦点をあてています。美しい繊細なアルペジオ、急速な動きで流れるパッセージ、ぼんやりと相互に溶け合う和やかな音色...。水面に映る木々や空、陽の光が風にさらさらと揺られる情景が、目に浮かびます。
19世紀前期:フランス王国
19世紀後期:フランス共和国
前期ロマン派音楽

ドイツの「絶対音楽」に対し、文学性の高い音楽が求められた時代に、ベルリオーズが「標題交響曲」を作曲。サロンや大衆向けのコンサートが盛んになり、花形ピアニストが活躍。

ショパン

ショパン(1810-1849 ポーランド)
サロンを中心に活躍。繊細なピアノで、パリの音楽界を虜にした「ピアノの詩人」。祖国ポーランドの舞曲を取入た『マズルカ』『ポロネーズ』など。

リスト

リスト(1811-1886 ハンガリー)
ピアニスト時代はヴィルトゥオーソとしてパリの観衆を魅了した「ピアノの魔術師」。パガニーニのヴァイオリンの超絶技巧を原曲とした『ラ・カンパネッラ』など。

後期ロマン派音楽

普仏戦争(1870年)でドイツに敗北した翌年、フランスの民族運動として、フランス国民音楽協会が設立。フランス近代音楽の基礎が築かれる。

フランク

フランク(1822-1890 ベルギー)
オルガニスト兼作曲家。バッハへの傾倒、カトリック的体験から、『プレリュード、フーガと変奏曲』(オルガンの音色参照)などの重厚深遠な作品。

サン=サーンス

サン=サーンス(1835-1921 フランス)
フランスの神童。ピアノ編曲でも人気の『動物の謝肉祭』など、華麗で軽快、エスプリに満ちた作品を次々に発表。

フォーレ

フォーレ(1845-1924 フランス)
フランス近代音楽を隆盛に導く。パリ音楽院院長としてドビュッシー、ラヴェルを排出。

印象主義音楽

ドイツではワーグナー、イタリアではヴェルディらの「ロマン派音楽」は爛熟に向かう中、フランスでは、独自の印象主義音楽が開花していく。

ドビュッシー

ドビュッシー(1862-1918 フランス)
絵画の新技法「印象主義」を音楽に適用。全音音階や平行和音などの独特な音語を形成した。色彩豊かな作風の『映像』など。

サティ

サティ(1866-1925 フランス)
フランスの前衛芸術家。『3つのジムノペティ』など奇矯な発想を包み込む音の深みの光芒は、20世紀音楽に多彩な影響を与える。

ラヴェル

ラヴェル(1875-1973 フランス)
古典的な形式の中に、印象主義的な和声感。「管弦楽の魔術師」によるピアノの音色の開発。『鏡』『夜のガスパール』など。

現代音楽

これまでのロマン派音楽~印象派音楽を反逆する動きが出てくる。

プーランク

プーランク(1899-1963 フランス)
第一次世界大戦中から1920年代前半のパリに集い、新古典主義的な新たなフランス音楽を生んだ「フランス6人組」の1人。

メシアン

メシアン(1908-1992 フランス)
多彩な作品の基盤はカトリック信仰で、インド、インカ、ギリシアなどの旋法やリズムを濃密に組み込んだ『アーメンの幻影』など。

⇒ピアノ300年記念コンサートの詳細はこちら


ピティナ編集部
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