わくわくポピュラーガイド

第27回 丹内真弓さん

2014/03/07
ステップ課題曲アドバイス
応用2
茶色のこびん:アメリカ民謡(丹内真弓編曲)
出典:感性が目覚める!7つのピアノレッスン(ドレミ楽譜出版社)
小学校の教科書などでもお馴染みの、ジャズスタンダードナンバー。全体的にスウィング(4ビート)で演奏、左手はウッドベースをイメージして弾きましょう。メロディーは、管楽器を吹いているニュアンスを感じて。符点のリズムは、縦にはねすぎないように、前後の揺らぎで を捉えましょう。ペダルはほとんど使わず、音価の長さとアクセントで表現します。
発展1
虹の彼方に:H.アーレン(丹内真弓編曲)
出典:ベストアレンジ・ポップス・ピアノ1(ドレミ楽譜出版社)
ポピュラーとしては入りやすく、クラシックと同じような解釈で演奏できます。ペダルも自由に使ってエレガントに仕上げてください。「E」のグリッサンドは、黒鍵上で行い、実際は3拍半くらいの長さで、指を斜めに寝かせて手の外側(爪の方)で滑らせ、最後は箒で掃くように、するっと抜きます。行きつく音は自由です。
♪2014年度新課題曲
応用7
赤いスイートピー:呉田軽穂(丹内真弓編曲)
出典:ピアノスタイルベストセレクション3 (リットーミュージック)
8ビートのポップスで原曲に近いアレンジなので、歌いながら弾くことで、メロディーのシンコペーションのリズムも捉えやすくなりなります。ビート感を出すためにもペダルは少なめがおススメです。

発展4
やさしさに包まれたなら(「魔女の宅急便より」):荒井由実(丹内真弓編曲)
出典:ピアノスタイルベストセレクション2 (リットーミュージック)
16ビートのポップスです。全体的に1拍を16分音符4つで感じていないと、ビートが出ません。コーダ1から、盛り上がりブロック奏法へ突入します。和音の連続になっても音の方向を失わず、行きつく音までひと息に。左手は符点にタイがついているので、不安定になりがちです。予防策として、タイを取って練習するのもよいでしょう。ペダルは、深く使うとビート感がなくなるので、ハーフ使いで軽やかに。
連載第27回は、作・編曲できるピアニストとして大活躍の
丹内真弓さんにお越しいただきました。
丹内真弓さん
丹内真弓さん
(ピアニスト、作・編曲家 )

たんないまゆみ◎尾道市出身。東京音楽大学ピアノ科卒業。ヤマハ音楽院ジャズピアノ科卒。ピアノを播本枝末子氏、永井貴子氏、マティアス・フックス氏、イブ・アンリ氏に師事。ジャズピアノを藤井英一氏、和声学を田辺恒也氏に師事。作編曲できるピアニストとしてコンサートやレコーディングの他、あらゆるジャンルの舞台音楽を手掛ける。ヤマハGXコンテストでは、オリジナル曲で最優秀賞、富田勲氏より審査員特別賞を受賞。2009年よりフィルハーモ二ア室内管弦楽団のピアニスト。神奈川県民ミュージカルで10年間音楽担当。2007年~岡美保子「歌でつづる本居宣長」「歌で伝える奈良八重桜」など史上初の和歌曲の編曲を担当。三越劇場で上演。2010年より、世界的に活躍するオカリナ奏者、大沢聡氏の伴奏者として、新しいオカリナの世界をアシスト。近年、バイオリニスト中澤きみ子氏、声楽家千葉あかね氏、グローバルシンガー岡美保子氏など、各ソリストにアレンジも提供している。2013年10月より、FM-FUJIラジオ番組、大島真帆「Night Moves」に毎回アレンジを提供、演奏でも出演中。
【主な出版物】「ポップ・ピアノ・アンサンブル」(東音企画)「1分勝負クラシック」「オケと弾くクラシックピアノ」(リットーミュージック)「感性が目覚める7つのピアノレッスン」(共著)(ドレミ楽譜出版社)他多数。全日本ピアノ指導者協会正会員。ステップ課題曲選定委員、ステップアドバイザー。日本音楽著作権協会会員。
オフィスタンナイ主宰 ホームページ http://piano.a-3mt.com/
趣味は、大人から始めた水泳と、似顔絵&イラスト!
(このイラストも作品のひとつです⇒)
─ 本当に多方面でご活躍ですが、最初は電子オルガンから入ったそうですね。

ええ。幼少の頃に地元の音楽教室に入り、その後広島のヤマハセンターに通うようになってからは、JOCやエレクトーンで全国大会に出場させていただいたりと、貴重な経験を積むことができました。その頃の将来の夢は、ヤマハ音楽院に行くことと、エレクトーンプレーヤーだったんです。

─ その後、ピアノを始めたのはいつ頃でしょうか?

実は高校に入り、進路を決めたときからなんです。進路で散々迷っているときに、広島センターの特別講師の方に音大受験を勧められたのですが、それまでピアノは全くやっていなかったので、まともに取り合ってくれる先生は周りには皆無。そこで、友人のピアノの先生に頼み込んでみていただくことになり、それこそツェルニーやバッハの一から、すごい勢いで勉強して、これ以上ないっていうくらい練習しました。悔いが全く残らないくらい頑張ったので、清々しい気分で受験することができたら、ピアノ科に合格してしまったんです(笑)。

─ その後が大変だったのではないですか?

そのとおりです。受験で弾くのは数曲で済みますが、入学してからはそうはいかない。音大の最初のピアノレッスンでは、「あなたよくこれで入ったわね」と言われる始末でした。音大入学と同時に、ヤマハ音楽院でジャズやエレクトーンも勉強し、プレーヤーの仕事もしていたので、とにかく練習してもしても時間が足りない。そこで一大決心をして、ジャズの方を一年お休みして、クラシックに専念した時期もありました。また、一度挫折して気になっていた「和声楽」も個人的に先生についてマスターし、音大卒業までの目標であった、ヤマハのグレードトリプル3級(ピアノ、エレクトーン、指導)も無事取得できました。が、私の中では「クラシックピアノ」に対するコンプレックスはずっとついて回っていて、現在も研鑚を積んでいるところです。

─ 今大成されている方は、皆さん必ずコンプレックスをバネにしていますよね。最近では、歌、オカリナ、バイオリンなどの編曲も多いそうですが、日頃気をつけていることはありますか?

センスのよいアレンジをする方は、膨大な量の音楽を聴いていて、アレンジヒントとなる引き出しが多いものです。そんな方にあやかりたいと思いつつ、普段からピアノに限らず、いろんな曲を注意深く聴いてアンテナを張っています。1曲を何種類も聴き比べることも、楽しみながらやっています。

─ ポピュラーを弾く際に、指針となることはありますか?

とにかく原曲をよく知る、聴くことでしょうね。私も、朝はクラシック、夜はジャズと、それこそ浴びるように聴いています。ポピュラーは、元はアンサンブル形態のものが多いので、ピアノで演奏する場合には、良い楽譜、アレンジを見抜く目も必要です。ステップポピュラー課題曲は、洗練されたアレンジ揃いなので、ぜひこの宝の山を活用していただきたいですね。

─ 丹内先生の課題曲演奏動画も沢山公開されていますので、ぜひ参考にしていただきたいですね。(http://www.piano.or.jp/step/news/2013/02/14_15540.html
では、ここで課題曲のアドバイスをお願いします。(右上欄参照)
─ 最後に今後の抱負を一言お願いします。

今までいろいろな編曲や演奏活動もしてきましたが、一人で弾くより「伴奏」が性に合っているようで、楽しいですね。伴奏によって演奏者が輝く瞬間があるのですが、その土台を作って差し上げたい、その方々と一緒に新しい音楽を作っていければと思っています。

─ 今後のご活躍にも期待しております。本日はお忙しいところありがとうございました。

ポピュラー指導法(ステップ課題曲)セミナー
■ 日時:2014年5月11日(日)13:00~16:30
■ 会場:東音ホール
■ 内容:2014年度ステップポピュラー新規課題曲の演奏・指導のポイント
■ 講師:佐土原知子、丹内真弓

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ピティナ編集部
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