第26回 布施威さん
【譜例:クリックで拡大】 「打楽器が刻むリズム」「低音楽器が担当するベース音」「ハーモニー」を組み合わせた伴奏の典型例となっています。個々のパッセージがそれぞれどんな性格を持っているのかを把握し、またプリモに気を取られて不安定にならないように、その役割を全うすることが大切です。要所要所でアーティキュレーションやダイナミクスが様々に指定されますが、それによってテンポ感やリズム感など曲の進行そのものが揺らがないように、しっかりキープした伴奏がふさわしいです。(譜例参照) ≪プリモ≫ 2小節単位や1小節単位の小さなフレーズが順繰りに現れます。その中をさらに細かく表現することは不要と思いますが、小さなフレーズ単位の表情が折り重なって、メロディー全体が組み上がっていくような演出ができるとよいですね。ただし、やりすぎは禁物です。
イントロはスティールギターのイメージで。単純な譜割りの伴奏型ですが、刻みが意外と不安定になりがちです。また、左右の手の受け持ちが少しずつ変わったり、新たなラインが付加されたりしますが、それに惑わされず、全ての役目を弾き分けながら、しっかりキープすることを心がけてください。≪プリモ≫ 2小節単位や1小節単位の小さなフレーズが順繰りに現れます。その中をさらに細かく表現することは不要と思いますが、小さなフレーズ単位の表情が折り重なって、メロディー全体が組み上がっていくような演出ができるとよいですね。ただし、やりすぎは禁物です。
(作・編曲家)
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」!
(写真をクリック!)
幼少の頃はピアノとオルガンの両方を習っていて、高校から編曲や指揮、ドラム、ベースなどもやりました。いろいろな音楽を経験してきたので、それを生かせるのは作曲科かな、と思い音大の進路を決めました。高校の後輩に塩谷哲くんがいて意気投合していましたが、その後別々の音大に進んだにも関わらず、ライブハウスなどでよく一緒に演奏しましたね。卒業後に入ったヤマハでは、各種曲集のアレンジ・制作、ソフトウェアや電子楽器の開発、テキスト執筆など、幅広い分野に関わりました。
まずはそのジャンルが好きであること。そして「こう弾きたい」というイメージが頭の中に生まれるまで、よい演奏をたくさん聴くとよいと思いますよ。子どもでも「こう弾きたい」というイメージがしっかりあるほど伸びると思います。ただし、モデルとなる演奏の"結果"だけ真似すると、更に違った結果しか生まれない(笑)。同じところには永久に行き着けません。どうしてそうなるのか、その"過程"や"原因"に着目することが、ジャンルを問わず大切なんですね。
あとは、上手な人とアンサンブルすることがとても有効です。わからない者同士で合わせていても何も生まれない(笑)。そのエッセンスを持っている人と合わせてこそ、身を任せているだけで言葉にならない何かが入ってくる。そういう体験や発見の積み重ねで、あるとき必ずわかるようになりますよ。
ありがとうございます。「二人で息を合わせる」という大きなお題をいただいているのですが、その上で「スイング」「合言葉」「エコー」等々毎回テーマを決めて書いてます。自分の音楽経験上、これは身になったな、というものを盛り込んでいますので、アンサンブル体験という意味からも皆さんに活用していただければ嬉しいですね。
たとえ初級でも、バックボーンがしっかりした納得できるものを作ろうと、4人(共著の春畑セロリ、原川健、秋透の各氏)でアイデアを出し合い、子どもたちにぜひ紹介したい曲を選出しました。出来た作品も、お互い弾き合い批評し合いながら共同制作したんですよ。
リズミカルなポピュラー曲全般に言えることですが、ピアノだけで演奏する場合、「旋律」「副旋律」などの他に「打楽器が刻むリズム」「低音楽器が担当するベース音」「ハーモニー」を組み合わせた形での伴奏が必要となることが大変多いですね。それを踏まえた上で、アドバイスを一言ずつ書いておきますので、参考にしていただければ幸いです(右上囲み参照)。
クラシックは、自分が演奏した軌跡に、テンポ感やビートが結果として存在することが多いと思いますが、ポピュラーは、普遍的に流れているビートが最初からあるんですね。アンサンブルする場合も、それをみんなで共有して演奏するわけです。ドラマーが叩き出すリズムパターンも、実は共有するビートの上に成り立っています。皆が同じビートを感じていればアンサンブルは成立するんですね。こういう考え方ができると、途端にポピュラーが難しくなくなると思いますよ。