第23回 川田千春さん
■作曲:杉本竜一(川田千春編曲)
■販売:(株)ヤマハミュージックメディア
■作曲:多田慎也(川田千春編曲)
■販売:(株)ヤマハミュージックメディア
■作曲:シャーマン兄弟(川田千春編曲)
■販売:(株)ヤマハミュージックメディア
(作・編曲家、ポピュラーピアノ講師)
氏初のオリジナル曲集『TIME』(全3巻、ヤマハミュージックメディア刊)の採譜を全曲(32曲)手掛ける。その他、小原孝氏曲集アレンジ、リチャードクレーダーマン曲集、ディズニー曲集、imageマッチング曲集、ビージーアデール曲集、菅野よう子作品集、ファイナルファンタジー曲集、初音ミク、ボカロ曲集など、様々なアレンジをヤマハミュージックメディアより出版。演奏活動では、ブライダルや各種イベント、様々な楽器とのDuoや歌伴奏、又自身が作編曲を手掛ける「リコーダーカルテット」での活動をスタート。指導面では現在「ヤマハミュージックアベニュー自由が丘」にてポピュラーミュージックスクールの講師として、後進の指導にも力を注いでいる。
10以上の山に登られるとか。
ヤマハ音楽院在学中に、たまたまポピュラーピアノアレンジのオーディションがあったんです。そこで認められて、アレンジャーとして活動するようになりました。それから、かれこれ20年になりますね。
お声がけいただいたのは光栄なことで、この楽譜は私の宝物となりました。当初は「CDで鳴っている音を出来るだけ再現してください」というお話だったんですね。ピアノソロ曲だけでなく、ビブラフォンやベースが入っている曲も多々あり、それを一般の方が弾けるピアノソロ譜にするのは大変でした。ただ、採譜はとても大事な作業で、アレンジだけだととかく自分の弾きグセに陥りがちなところ、人の作品を正確に書き取ることで、その方のパターンがわかってきて自分の引き出しも増え、毎回すごく勉強になっています。
CDの再生スピードは遅くせずそのままで、まずザッと横に聴いて、聴こえる音をパートごとに書いていきます。あとはコード感ですね。コードをつけたときにどう混ぜたらこのラインが作れるかと、ここではじめて縦で合わせてみるわけです。コードネームがつかないような箇所も多々あるので、そこは大分悩みましたけど。
子どもの頃はピアノの練習が大キライで、自分でマルを書いて「先生、この曲はもう終わりました」なんてズルをしたこともあったんですけど(笑)先生は私の「耳」を評価してくださってたんですね。練習しない私に、先生はおこづかいを渡して「アンサンブル譜を作りたいんだけど、これでレコードを買ってきて。それはあなたの財産(ギャランティ)として持っていてよいから」と、アレンジする機会をたくさん作ってくださいました。そのときに、楽器を分けて聴く作業、つまり「耳」をその楽器に合わせて、あるパートを聴くときは他の楽器はシャットアウトして聴ける「耳」が育ったのだと思います。また、いろいろな楽器の特性を知ると、「この楽器ならこうくるな」と、ある程度予想をしながら聴くことができますよね。
今までのアレンジ経験を生かして、ピアノと様々な楽器とのアンサンブルを広げていきたいと思っています。一昨年には"リコーダークラブ"を結成して、リコーダーカルテット&ピアノ(メロディオン)&打楽器での編成で、作・編曲、キーボードを担当しています。学校やライブハウスなどでの演奏活動を通して、リコーダーの秘めたる魅力と新たな可能性を引き出してみたい、と思っているんですよ。