第22回 川上 昌裕さん
■定価:2,835円(税込)
■販売:(株)プリズム
※第18番が展開2課題曲
■定価:2,520円(税込)
■販売:(株)プリズム
※第1番前奏曲が展開3課題曲
校訂:川上昌裕
■定価:¥ 2,520(税込)
■販売:(株)ヤマハミュージックメディア
■定価:¥ 2,940(税込)
■販売:(有)日本アコースティックレコーズ
"鮭"が大好き!&ドラえもん並み!?に "どら焼き"もお好きとか。
ええ。今年もイタリアの「ペルージャ音楽祭」に講師として参加しました。現地での初日の朝、ホテルの階下から、このカプースチンのエチュード1番が聴こえてくるのには驚きましたね。この音楽祭には、世界のトップレベルの若手ピアニストたちが120名ほど集まってきてレッスンを受けるのですが、何人もの生徒が普通のレパートリーとしてカプースチンを持ってきているんです。つまり、世界中でカプースチンの曲はもう当たり前に弾かれている、ということなんです。そして、先生方もカプースチンを普通にレッスンしている、という時代になりましたね。
1999年に、アムランのオペラシティでの演奏で初めて知りました。その後カプースチンの自作自演CDも聴き、「こりゃすごい!」とぶっとびましたね。その当時は作曲者の自筆だと思われるコピー譜しか出回っていなくて、「これはちゃんとした出版社から出さなくては」と勝手に一人で動き始めたんです。絶対ロシアにも行かなくては、と思っていたところ、2003年に彼のレコーディングに立ち会わせてもらえる機会に恵まれました。
まだ言葉も通じない段階でしたし、彼も寡黙ですから、殆ど言葉は交わせませんでしたね。ただ、日本に戻ってから出版社と引き合わせることはできました。
その後、ロシア語を何とか習得して、ある時カプースチンに「実はロシア語が出来るんだ」とメールしたら、がーっと返信が来たんです!あんまり待たせると苦労しているのがバレるので、それは必死に返信しましたよ(笑)そのお陰で、すごく信頼関係が出来たんです。この楽譜の解説も、全て私がロシア語を翻訳(英語&日本語)しましたが、それはそれは大変な作業で、苦労の賜物といえます。
彼自身が現在進行形でまだまだ進化しているので、さらに前衛的になっていっているんですね。彼にわかりやすい作品、と言うのは無理かなとも思います。やはり「24のプレリュード」「8つの演奏会用エチュード」あたりから入るのが王道でしょうね。カプースチン自身の指使いも入れたので、参考にしてください。
あとは、唯一の連弾曲「シンフォニエッタ」もおすすめです。楽譜も見やすく、音楽がわかりやすくて楽しいので、発表会などでも盛り上がりますよ!
重さをかける音と抜く音を意識する、強い音、弱い音の関係を探ることが大事ですね。ただ音を並べて弾いては面白くない。裏拍にアクセントがつくことが多く、また逆にアクセントをつけてはいけない音もあります。その独特のリズム感は、カプースチンの自作自演や、ジャズピアニストの演奏を聴くのが一番よいでしょう。そこに自分のセンスをプラスする。そうしないと、ジャズっぽいかっこよさが出てこないと思います。
たとえば16分音符が並んでいるところは、ノンレガートで練習してみるのも効果的です。交互に「入る音」「抜く音」で弾いてみる。最初はアタマの音にアクセント、次の音は抜く。それが出来たら、逆に後の音にアクセント、さらにテヌートもつけるとバウンスする感じも出せますよね。その両方が自在にできると、いろんなニュアンスが自由に出せるようになります。
いいえ、幼少の頃からクラシックだけです。ジャズを弾くとクラシックに戻れない?(笑)という迷信のようなものが以前はあって、あえて弾かなかったですね。カプースチンに関しては、まずは真似から入ったわけですが、10年も弾き続けているとそれらしくなるみたいですね。カプースチン自身にも褒めていただいて、「これでいいんだ」とようやくわかってきたような気がします。
もっと自由に考えていいと思いますよ。楽譜に書いてあるテンポでなくても、遅く弾いてもいいんです。音とリズムは守るとしても、テンポは表示どおり弾けない曲が殆どだと思います。彼は、遅いテンポで弾いても怒らないので心配しないでください。人間的に包容力がある方ですし、バッハのようにいろいろなアプローチがあってよいと思います。世界では本当にいろんな弾き方をしている人がいますが、皆さん楽しんで弾いてますよ。
詳細はこちらwww.kapustin.jp