わくわくポピュラーガイド

第18回 加賀 美江さん

2011/08/26
楽譜のご紹介
ピアノレッスンでもひける
ちびっこサンタとメリークリスマス
ピアノレッスンでもひける ちびっこサンタとメリークリスマス
■ 編著:加賀美江
■ (株)ドレミ楽譜出版社
■ 定価1,260円(税込)


子どものためのピアノ曲集1・2
~たのしくひこう
発表会で使える名曲選
子どものためのピアノ曲集1.2
■ 編著:加賀美江
■(株)ドリーム・ミュージック・ ファクトリー
■ 定価1,050円 (税込)
第18回は、ステップ課題曲アレンジャーとしても 大人気の、加賀美江さんにお越しいただきました!(掲載:Our Music294号/2011年7月31日発行より)
鈴木 奈美さん
加賀 美江さん
(作・編曲家、音楽教育家)

かがみえ◎東京音楽大学作曲科卒業、同研究科修了。作曲を伊福部 昭、三枝成彰、池野 成の各氏に師事。オーケストラ、室内楽の作曲・編曲を中心に演奏活動(ピアノ五重奏)。その傍ら、講演活動も行っている。Mac導入は20年以上前、Mac Plusの時代。「音楽と画像」によるコンテンツを制作、またCGと音楽のシンクロ競演のライブ活動も行う。CG画像処理やマルチメディアの資格も取得したが、現在はデジタルよりもアナログ、生の楽器に意味を見出している。音楽以外のことにうつつを抜かすこと多し...小型船舶(2級)、自動二輪、調理師免許など。著書:『ピアノパレード全8巻』」(学研)『ちびっこサンタとメリークリスマス』(ドレミ楽譜出版社刊)『子どものためのピアノ曲集全2巻』(ドリームミュージックファクトリー刊)『みーとんのくいしんぼエチュード全2巻』『たっくんのわんぱくにっき』(オンキョウパブリッシュ刊)他多数。
帯
近年のマイブームは「着物」と「ワイン」。外出時はいつも和服ですって。本日の着物&帯は、かわいい音符柄!!

インタビュー

─ いつ頃作曲家を目指そうと思われたのですか?

ピアノは幼少から習っていましたが、特に音楽に熱心な家庭でもなかったですし、音大に行くつもりはなかったんですよ。ただ、中学の音楽の授業で、ドヴォルザークの『新世界』を聴いたときに感動してしまって...「どうしたらこんなすごいものが書けるんだろう」とビックリしたんです。音楽の先生に尋ねたら、「音大の作曲科に行くと、こういったオーケストレーションの勉強ができるんだよ」と教えてくれました。そこで急に音大を意識し始めたわけですが、受験期ということでピアノも中3のときに辞めさせられてましたし...とにかく親をまず説得しなくては、と知恵を絞りましたね。そこで、高校受験を利用して、「学費のかからない都立に進むから、そのかわりレッスンを受けさせて。そうでなければ、学費の高い私立に進むから」と交渉したところ、親もそこでようやく本気だとわかってくれたようです。でも、そこからがまた大変で、ツテも何もないので...まずは電話帳で、音大受験のレッスンを受けられる所を片っ端から探したんですよ(笑)。

─ 正に波乱万丈、ご自分で道を切り開かれたわけですね。

その後についた先生の紹介で、高2のときから三枝成彰先生に教えていただくようになりました。在学中は、劇伴の仕事や、ゲーム音楽、歌謡曲のピアノアレンジなどもやってましたね。ただ、研究科を修了する頃には、ピアノの指導も長くしていたので、出版するならピアノ教育関係で、と思うようになりました。

─ そこから、次々とロングセラーとなる、教本・教材を生み出されたわけですね。どの本も、選曲が幅広く、見やすい譜面ということで、生徒にもピアノ指導者にも大変好評ですよ。

ありがとうございます。例えば、新刊の『子どものためのピアノ曲集』では、ピアノ指導者にアンケートをとったり、携帯のダウンロードベスト10なども参考にしました。CMで有名になった『チェッチェッコリ』や、インターネットで人気の『イエヴァン・ポルッカ』などと、レッスン定番の曲をバランス良く入れてあります。

─ 「加賀さんの本は、どれも歌詞が書いてあるのがうれしい!」との声もたくさん届いていますが...

これは私のこだわりで、現場で教えていると、歌詞がないと困るんですね。出版社にはいい顔はされないのですが...何とか理由をつけて掲載してもらってます。私の強みといえば、教えていることだと思うんですね。なので、伴奏も、その場で先生がすぐ弾けるようなアレンジを心掛けています。

─ レッスンでは、教材や選曲はどのようにされてるのですか?

導入期の子どもたちの教材は、ひとりひとりに合わせて、私が手作りしています。もう少し上の年代になると、"知ってる曲を弾きたい"というのが、生徒たちの一番の楽しみなので、基本的に、生徒の弾きたい曲を取り上げますね。

─ ではここで、毎年ポピュラー課題曲の人気上位曲に入っている5曲について、ワンポイントアドバイスをお願いします。(以下囲み参照。)
ワンポイント・アドバイス(ピアノパレード1~3巻より)
ピアノパレード
ピアノパレード1~3巻(学研)
全てかがみえ編著
『ミッキーマウス・マーチ』(導入1)

6/8のマーチらしさが出るとよいのですが、子どもに伝えるのは難しいので、先生が伴奏を入れてあげて体感させるとよいと思います。34ページの1小節目、左手のラの音が短くならないように。合いの手がうまく入らないときは、その前の音で「〇〇ちゃ~ん」と名前を呼んであげると、うまく入りますよ。

『ハイホー』(導入1)

バイエルを意識したポジションなので、ミドルCから入った生徒さんには譜読みが難しいかもしれませんね。冒頭のアウフタクトがうまく入れないときには、先生が2小節ほど前奏を入れてあげるとよいでしょう。付点4分音符が苦手な場合は、次ページのエチュードで練習してみてください。

『こぶたぬきつねこ』(導入2)

左手の4分音符は、合いの手を入れるように楽しく。決して重くならないように。子どもは拍の最後をなぜか重くするクセがあるので、左手の4分音符、2つ目に注意してください。

『小さな世界』(導入3)

右手と左手を独立させて弾くのは難しい曲です。右のメロディーが、左手のオルタネイト・ベースに引きずられないように。左手の伴奏は「つなげない、でも、切らない」というニュアンスで。子どもには「ハネないで歩いてる、でも足を引きずらないように」と説明しています。

『チム・チム・チェリー』(基礎1)

左手のメロディーや半音階をなめらかに弾く練習になります。2番括弧後の、右手の伴奏は軽く。4段目の右手は、後の音をビシッと切らずに、抜くようにしましょう。


─ 最後に、今後の抱負を一言お願いできますか?

ピアノ教師としては折り返し地点に来ているように感じています。私がピアノ教師になった頃とは状況が大きく変わりました。電子ピアノ・キーボードの台頭、保護者様方の意識の変化など、折り合いをつけながら、この先の「ピアノレッスン」をどう捉えていくか、大変大きな課題だと思っています。
作曲活動では、管弦楽・室内楽を書いていきたい...それが昔からの一貫した思いです。

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ピティナ編集部
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