第03回 小原 孝さん
連載3回目は、ジャンルにこだわらない音楽観と、美しいピアノの音色で多くのファンを魅了している、小原孝さんのご登場です。(掲載:Our Music268号/2007年10月31日発行より)
【公式ウェブサイト】
http://www2.odn.ne.jp/~cau57200/
http://www.obaratakashi.net/
水泳は、演奏会中に小指の腱を切ったため(痛みがないので気付かず、フト見ると小指がブラブラしてたとか)、そのリハビリのために1993年に始めたそうで、最初は水中で指を動かす程度だったのが、今や全種目こなすスイマーへ転身!
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佐土原 小原さんとは、大学時代同じサークル(バスケット部)だったのですが、最近では水泳が相当なキャリアとあちこちで見かけますよ。
小原さん(以下小原) 僕の場合はタイムを競うわけではないんだけど、夜練習したら近くのプールで泳いでと、今では「練習+プール」はセットで日課となってますね。
佐土原 演奏家で水泳をやっていらっしゃる方は多いですよね。
小原 本当に。いろいろな効用やピアノと共通することもたくさんあるんですよ。例えば腰痛がなくなったり、肩も柔らかくなる。ピアノと共通することは、上手な人はフォームがきれい!脱力も出来ている。呼吸法も身につくし、上半身に筋肉がつくので音量も出るようになるから、音が鳴らなくて悩んでいる人は、身体を作ることから本気でやるといいですよね。
佐土原 ポピュラーを弾くようになったきっかけは?
小原 もともと左の薬指が曲がってるうえに、練習が大きらいで、誰も僕がピアニストになるとは思っていなかったから(笑)、あまりうるさいことは言われなかった。テレビで見た好きな曲を弾いたり、どんなジャンルも分け隔てなく弾いているうちに自然につかんだんだと思います。
佐土原 そういえば、昨年のポピュラーステップのトークコンサートで、片手で楽に11度届くと話されていたような?!
小原 僕は親指と中指で10度届くんだよね(実際にグワッと開いてみせる)。よく手が小さくてオクターブが届かないという相談を受けるけど、1と2の指を開く練習をするといいですよ。あと手を少し斜めに使うとか。
佐土原 つい親指と小指を開こうと無理をしがちですが、これは試してみる価値ありですね。
ポピュラー演奏法に関する公開講座や公開レッスンも行っていらっしゃいますが、何か読者にアドバイスをいただけますか?
小原 ただ弾くだけのポピュラーではなく、やはりクオリティーを高めてレベルアップするためには、まずは"良い音色、自分らしい音色を追求する"ことですね。例えば、ベース・内声・トップの音色をそれぞれ変えてみるなど、クラシック同様深く追求していけるはずです。
佐土原 ポピュラーの楽譜は細かく書かないのが通例ですが、皆さん真面目なので「変えて弾いて本当に大丈夫ですか?」とよく聞かれますが・・・
小原 例えば「ねこふんじゃったパラダイス」(譜例1)セコンドの左手の音型は、書いてないけど最初の音にアクセントをつけた方がいいなとか、右手の最後は抜いた方がいなとか、カッコよく聞こえるように自分で作っていって欲しいですね。書いていることだけやるのではなく、書いてないことを感じとって、自分でみつけていかないとね。逆に僕は「ポピュラーは楽譜通り弾かないように」と言うんです(笑)。ただいきなり全部は無理だから、一箇所変えてみるとか。メロディーをオクターブ上げてみるだけでも随分変わってきますよね。これがアレンジの一歩になるのでは?
佐土原 アレンジする側も、変えて弾くことを前提としているということですね。ペダルについてはどうでしょう?
小原 ペダルは基本的に自由に、生徒には最初から自分で考えて入れさせます。あとからペダルを入れると、ペダルの技術が追いつかない。逆にここは踏まない方がいいというところだけ指示してあげるかな。正解はひとつではないので、何種類かやってみて決めることです。
佐土原 今後の公演のご予定は?
小原 11/7~9の"小原孝ピアノシアター"は、「ナイト・アンド・デイ」や「ビギン・ザ・ビギン」で有名なコールポーターの名曲をトリビューして、シンガーやダンサーが演じて歌うというショーで、僕が音楽監督・アレンジ・演奏を担当。ステージ上でベース、ドラムと通し生演奏します。また12/21東京文化会館でのリサイタルでは、ギロックの「ソナティネ」や「ジャズスタイルピアノ曲集」も取り上げますよ。
佐土原 それはとっても楽しみですね!最後に今後の抱負を。
小原 「おじいちゃんになってもピアノと遊んでいたい」が一番の夢ですね。あとは長く続けているラジオ番組や雑誌連載、東京でのリサイタル活動などは、今後も大事にしていきたいきたいと思っています。
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