ピアノとコーチング

第17回 「生徒さんの優位感覚を合わせたレッスン」~読者からのご相談への回答~

2008/06/20

緑が生い茂り、木々の成長におどろかされる今日この頃です。
季節の変わり目ですが体調を崩されていませんか?
美食、暴飲暴食、イライラは内蔵を傷めるもと。
私は、殺菌効果があるという梅肉エキスを手元に置いて、時々飲んでいます。

さて、今月もご質問をいただきました。
指導暦7年の先生からのメールです。

リエ先生。こんにちは。先月のお答は、とても他人事とは思えず、何度も読み返しました。悩んでいるのは我が家だけではないと知って救われました。以来、親子の会話の質の向上を心がけています。実は、生徒さんのことでご相談です。レッスンにコーチングを取り入れてからというもの、現在30名いる生徒のゴールが明確になり、熱心に励んでくれるようになり、おけいこがしやすくなりました。でも、私やお母様にしつこく言われないと練習してこない生徒が数名いて気になっています。このままだとよく練習してくる子との差がどんどん開いていくようで心配です。指導者としてどのように導いていったらよいのでしょう。

ふむふむ。どこにでもありそうなお話しです。
飴と鞭を使い分けながらの練習は、先生もお母さまもへとへとになってしまいますよね。
ご一緒に何か良い方法を考えていきましょう。

どうも言っていることが相手にうまく伝わっていないみたい。
生徒さんも、何をどう練習してきたらよいのかピンときていないみたい。
ああ、月日だけが過ぎ去ってしまう・・・・

こんな時は、生徒さんの優位感覚を合わせたレッスンをおすすめします。

生徒さんの生まれ持った優位な感覚(視覚・聴覚・言語感覚・触覚のうち、どの感覚を使って情報をキャッチする傾向があるのか)に合わせて指導すると、理解が早まり、効率よく上達できます。
生徒さんにとっても、ぐっと情報が受け取りやすくなるため、モチベーションが上がって集中力も増します。 コーチングレッスンVol.1の128ページ、ぴあれんキッズVol.2の46ページに「優位感覚」を調べる項目がありますので、試してみてくださいね。

さて次に、明確な練習する目的があるかどうか確認しましょう。

●何のために練習するのか。
●がんばったらどんなに良いことがあるのか。

練習する目的は、大人にはわかっていても、子どもにはわからないことが多いようです。ただ、なんとなく「お母さんのために。先生が喜ぶからがんばる」のでは、成果は出せたとしても自発的な欲求ではないため、結局、長続きせず適当にやってすませてしまう要因のひとつになってしまうのです。
深く丁寧に、そして楽しくイメージを膨らませながら話し合えるといいですね。

さらに、伝え方も大切です。
一般論や抽象的な説明は、生徒さんの心に届きません。
インパクトがあり、シンプルな伝え方。
さらに、イメージがわくような楽しさやわかりやすく具体的な説明で、生徒さんのモチベーションをアップさせましょう。

少しまとめてみますね。


ステップ1ここまでがんばってきた成果。その結果、現在出来ていることや上手になったところを一緒に確認。
ステップ2 もっと上手になったら、どんないいことがあるかを楽しく自由に語らせる。
ステップ3 さらにビジュアライズ(映像化)
(例:メンデルスゾーンのつむぎ歌をかっこよく弾く私をイメージ→指が早く回るってかっこいいなあ~→メトロノームを使って少しずつテンポをあげてみようかな?→面倒くさがらずメトロノームを使ってみよう!)
 目的をはっきりさせることで、先生と生徒のゴールを一致させる。優位感覚を使った具体的な方法、必要なことを指導し、自力学習が出来るところまで持っていく。
 次週までの宿題を自分で決めさせる。それに対するアドバイスと承認。
ステップ4いつでも相談できる雰囲気とバックアップのシステム。
例え、うまくいかなかったとしても再チャレンジできるような暖かい環境を作る。

「やってこない」と嘆く先生。
あきらめてしまわずに生徒さんの眠った力を引き出してあげましょう。
そして、新しいことにどんどん取り組んで、レッスンを進化させていきましょう。

先生「最近変わったね!」
生徒「先生も!」
先生(ガクッ・・)
こんな会話もいいですね♪


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