ピアノとコーチング

第10回 「自分の気持ちをコントロールするテクニック」

2007/11/19

「青木さん、ぐさっと傷つくことないんですか?」
こんなご質問をいただきました。もちろん私だって、人の言葉や態度に傷ついたり、傷つけてしまったりということもあります。
でも、コミュニケーションを論理的に学び、練習することで、そういったことがものすごく減ってきています。 今回は、少しだけ心の奥底に入ってみましょう。

ガラスドームの中に入る

あなたに批判をぶつけようと、顔色を変えた相手がやってきます。
「あ!まただ」はっと身構えるあなた。
そこへするするとガラスドームが降りてきました。あなたは完全に守られます。
ガラスドームにぶつかる相手があなたを責める声は聞こえますが、その言葉はあなたの心の中に入ってきて、あなたを傷つけることはありません。
興奮している相手に反論したり、言い訳をしたり、自己主張するのは、やめておきましょう。たた、穏やかに相手の言い分を「そうなんですね」と受け止めます。
相手が去り、ガラスドームが、するすると上がっていきます。
外に出たあなたは、相手の言った声の中から、今、自分に必要なことや納得できることだけを拾います。
でも、残りをゴミ箱に捨ててはいけません。
今は受け入れられなくても、少し時間がたって、気持ちのゆとりが出来た時に受け入れられるかもしれないし、厳しくても相手に本当の愛があって言ってくれた言葉なら、いつかはそれを受け入れられるかもしれないからです。

相手を分析する

怖い顔をして大きな声を出し、ひどいことを言うのは、本当にあなたのことが嫌いなのでしょうか?もしかしたら、その人は、自己表現やコミュニケーションが上手に出来ないのかもしれません。たまたま疲れている場合や機嫌の悪い時もあります。
または、感情を抑制する働きやこころの知能指数といわれているEQ〈Emotional Quotient〉の低い人もいます。もし、相手がそうだと思われるなら、あなたは自分を過小評価したり卑下するのはやめましょう。
まず、どのくらいの距離で、その人とつきあうかを決めて、しっかりと境界線を引きます。強引な相手にいつも負けたり、譲ってしまいながらNOといえないあなた。引き受けておきながら、後で文句や愚痴を言ってしまう受け身のあなたは卒業です。例え、相手が年上だったとしても、対等のスタンスに立ちましょう。堂々と胸をはって相手の目を見て、自分の考えを丁寧に伝えます。相手も自分も尊重するのです。そして、感じ良く自分の考えを伝えましょう。勝ち負けにこだわらないWIN&WINの関係です。
「こうして欲しい」「こうあらためて欲しい」とポイントを絞って話すと伝わりやすいですね。

例えばこんな具合です。
気にいらない事があると無視したり舌打ちする上司。
びくびくしてはいけません。
感じよく「私の言いたいこと、伝わっていますか?」
「どこを改善すればいいのか、教えてくださると助かります」
何度も繰り返します。
「しつこいよ。うるさいッ!」
「あ。伝わっていますね。では、変更するところがあったら今週中に言ってくださいね」
必要なメッセージだけ、ちゃんと伝えるのです。嫌味を言ってはいけません。無駄なことを言わず、いつまでも話を長引かせずに、自分から話を終えるのもポイントです。
相手の感情に振り回されて、不安になった気持ちを抱えたままで、可愛い生徒さんや大切なご家族に接してはいけません。
相手に望むのではなく、自分の気持ちをコントロールするテクニックが手に入ると、自分に自信がつき、爽やかな生き方を楽しんでいただけると思います。


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グサリとくる一言をはね返す心の護身術/バルバラ・ベルクリン著(草思社)
松下幸之助とEQコーチング/本間正人著(祥伝社)


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