ピアノとコーチング

第09回 「気持ちの切り替え上手になるスキル」

2007/10/31

「青木さんっていつも前向きですけど、落ち込むことってないんですか?」
って、よく聞かれます。私だって、失敗したり、がっかりしたり、落ち込むこともあります。でも、きっと立ち直り時間がすごく速いと思います。
以前は、試験やコンクールに受からなかったりすると、深く落ち込んでずるずると引きずっていました。傷が癒えるまで数ヶ月もショックを溜め込んでいたものです。でも、コーチとなって気持ちの切り替えが上手になった今は、ショックなことがあっても、落ち込み時間長くて30分。早いと30秒ぐらいで、いつもの元気な自分に戻って行動が起こせるようになりました。 。

今月は、そんな気持ちの切り替え上手になるスキルをご紹介しましょう。

人は、思ったような結果が得られなかった時や批判的な受け取りにくいフィードバックをもらった時、反射的に「え!なんでダメだったんだろう」と思ってしまいます。
もちろん、改善するために理由を知ることは大切ですが、「なんでダメだったんだろう」といった自問自答のスパイラルから抜け出せなくなると、どんどん苦しくなり行動が起きにくくなります。 なぜなら、「なんで?」という心の質問の答えはネガティブなものが多いからです。

質問:「何でこんな点を取っちゃったんだろう」
答え:
 勉強しなかったから
 親や先生の忠告を聞かないで遊んじゃったから
 先生が意地悪な問題を出したから
 ピアノの練習や部活が忙しくて、勉強する時間が取れなかったから
 頭が悪いから
 頭の悪い親の子に生まれたから
・・・・キリがありません。

私は失敗した時、自分のコーチからこんな質問をもらいます。
思いやりのある深く温かい声で・・・・

質問:「今の状況で何を学んでいるの?」
   「どうすれば、もっとうまくいったと思う?」
   「本当は、どうなりたいの?」
   「次のターゲットは何?」
  「それを成功させるために、今から何をスタートさせるの?」
   「一緒に何ができる?」
じっくり考える時間をもらい、「青木さんはこう思っているんだね」と考えをまとめて返してくれます。
私は、このような質問をもらうことで、自分で判断して最悪の状況から上手に抜け出せるコツを学んでいきました。
しかも、「こうすればいいんだ!」という答えを自分で出した私は、これさえやれば、もっとよくなる確信を得て、モチベーションがアップするのを感じます。
そんな私にコーチの掛けてくれる承認の言葉。
「待っていました。そうです。絶対立ち上がると信じていました」
冗談でも「すぐけろっと立ち直っちゃって、ちゃんとわかっていますか?」
「軽く考えているとまた同じ失敗を繰り返すよ」なんて、潜在意識に不安を刷り込むようなことを言ったりはしません。

こういったやり取りをセッションで毎週繰り返すものですから、自問自答もポジティブなものへと変化していきました。

「どうやったらもっとうまくいく?」
「今、何を選択したら満足いく結果になる?」
「ハッピーで公平で軸のぶれない自分にふさわしい考え方と行動って?」

気持ちの切り替えが上手になり、多少のことには動じなくなった私ですが、1つだけ損しているなあと思うことがあります。
それは、大きな成果を手にしても、喜びに浸る時間が短くなったこと。
コーチの試験に合格した時も嬉しかったのは1分ぐらいだったでしょうか。
すぐに、気持ちは引き締まっていました。
なぜって、合格はあくまでも通過点。
もっと先のゴールを見ているからです。
そんな私から、今回のテーマにぴったりの良書をお薦めします。
特に「質問思考の技術」は感動的です。
可愛らしいイラストの小さな本「ご機嫌の法則100」は、演奏やプレゼンテーション、ちょっと疲れたときなどにおすすめです。



質問思考の技術/マリリーG/アダムス著(Discover)
うまくいっている人の考え方/ジェリー・ミンチントン著(Discover)
うまくいっている人の考え方<発展編>/ジェリー・ミンチントン著(Discover)
ご機嫌の法則100/伊藤守著(ディスカバー21)


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