第05回 「価値」
自分の価値観を大切にする
皆さん、子どもの頃、時間を忘れるくらい夢中になってやっていたことってありますか?私は、本を読むのが大好きな少女でした。「眼が悪くなるからいい加減にしなさい!」と怒られても、ふとんの中で、懐中電灯をつけてこっそり読むくらい、本が大好きでした。
そして、「こんなことが書いてあった!」と、みんなに報告するのが大好きでした。
「価値」とは、自然にひきつけられる行動の事です。
人は、自分の価値にあった行動をしていると、ご機嫌だったり、わくわくしたり、輝いたり、豊かな時間を過ごせます。
私の価値は、読書の中から、「知覚」し、「情報をあたえること」でした。
10才の頃、確立すると言われる価値は、一生変わらないそうです。
私の選んだ職業、「ピアノ教師」と「コーチ」は、まさに自分の価値にあった天職でした。
ですから、私は、決して退屈したり、あきらめたりすることなく、仕事に満足してチャレンジし続けます。どんなに高い山でも、転んで傷だらけになりながらも、ニコニコ笑って前へ進んでしまう。だって、学んだことを生徒さんやクライアントさんに伝えることが、楽しくって仕方がないんです。空気の薄いところでトレーニングする陸上選手のように、厳しい環境に自分を置くことで、もっともっと高めたいとおもうのです。そんな私でも、一人静かに心と体を休める場所が必要です。そんな時、本を開いて読み出すと、不思議なほど心が落ち着き、いつもの自分に戻ることができます。
胸板を銃弾で打ち抜かれても出血多量で倒れるまで演説をやめなかった、アメリカのルーズベルト大統領の少年時代のエピソードを読みました。意外なことに、彼は、気が弱くて臆病、さらに病弱であったそうです。しかし、どういう訳か、無類の冒険好きでした。
後に彼は、「怖くて出来ないであろう事にあえて立ち向かう事。これがぼくが勇気を鍛えた秘訣だよ」と言っています。何にも恐れず立ち向かう「冒険」は、彼にとって自分らしさの現われ、つまり価値のひとつだったのです。
また、6才の頃からシーツを帆にして走り、風の力で地面を飛んで歩く事に夢中になって遊んでいたグレン・マーチンは、始めて大西洋を臆断した飛行機を作ることに成功しました。
彼の価値は「発見」「創造」。
彼を支えたのは、「息子があんなに熱中していることこそ、必ずいつかは大成する」と信じていた母親の存在でした。
そう考えてみると、マザーテレサの「貢献」、キュリー夫人の「発見」、今、話題の亀田兄弟の「勝つ」「影響を与える」も、価値のひとつかもしれませんね。
大人は、子どもの伸ばそうと意気込み、ついあれこれと押し付け、子どもの本当の価値を見落としがちです。「自分は出来なかったから、せめて出来るように」とか「あの子より上手になって欲しい」といった野心が、眼を曇らせてしまうのです。
マーチンは飛行機製作のきっかけを聞かれたときに、このよう言っています。
「1番大きいのは母親の影響です。台所で凧をこしらえろと勧めてくれました。つまり、自分の力に自信を持てと教えてくれたんです」
前回、ご紹介した本「やりたいをやるに変えるコーチング」の中には、130個以上の言葉の中から、自分のわくわくする言葉、自分らしさを感じる言葉を選び、価値を見つけるテスト(63ページ)がのっています。
先月のコラムでご紹介した、ピアニストの松本さやかさんとあすかさんにもやっていただき、価値を発見してもらいました。
皆さんの、そしてご家族や生徒さんの価値は何でしょうか?
ピアノを弾くこと?
ピアノを教えること?
他にも見つかるかもしれません。
ご興味のある方は、やってみてくださいね。
今回のお薦めの本です。
D・カーネギ-人生のヒント 高牧俊之介 三笠書房
やりたいをやるに変えるコーチング 平野啓子 Gakken