◇エッセイ「和ピアノへの道」1 雅楽に恋して
遅ればせながら、明けましておめでとうございます! お正月、私は近所の神社に初詣に行きました。普段は人気の少ない神社も、お正月ばかりは大賑わい!明るく華やかな雰囲気が漂います。ふと耳を傾けると、神社の裏からまったりとした典雅な音楽が...。そう、雅楽です。
そういえばかれこれ10年前、私が日本の音楽に目覚めたのも、雅楽がきっかけでした。それまでは日本音楽など全く興味もなく、メトードローズ、ブルグミュラー、ツェルニー、バッハ、古典派、ロマン派、近代...と、クラシック本道をひたむきに歩んでいたのですが...。
ある日突然、学校で雅楽のビデオを見せられたのです。それも大画面・大音量で!それまであまり見聴きしたこともなかった不思議な音楽。「日本にこんなスゴイ音楽があったのか!」と、一瞬にして恋に落ちてしまいました。思春期まっただなかの18歳。「なんで私はこれまでずっと、遠い国の音楽ばかり学んできたんだろう...」と、一気に自己否定へと走ってしまったのです。それからでした。「ピアノ曲MADE IN JAPAN」への長い旅が始まったのは。
この「エッセイ」コーナーでは、これから4回にわたり、雅楽から始まったその長い旅について語らせていただきたいと思っています。そんなコーナーにぴったりの作品、松平頼則作曲『盤渉調「越天楽」によるピアノのための主題と変奏』の演奏とともに!旅の初めの今回は、「主題」部分の音源をアップしました。既存の雅楽曲をそのままピアノ曲にした不思議な音楽です。この「主題」が、これからどう「変奏」されていくのか...乞うご期待です!
♪松平頼則作曲 『盤渉調「越天楽」によるピアノのための主題と変奏』より「主題」(mp3、外部リンク著者ホームページへ)
東京芸術大学楽理科、大学院応用音楽科修了。在学中よりピアニストとして同年代作曲家の作品初演を行う一方で、美学や民族学、マネージメント等について広く学ぶ。04年、第9回JILA音楽コンクール現代音楽特別賞受賞、第6回現代音楽演奏コンクール「競楽VI」優勝、第14回朝日現代音楽賞受賞。08年、第8回オルレアン国際ピアノコンクール(フランス)にて、深見麻悠子氏への委嘱・初演作品が、日本人として初めてAndreChevillion-YvonneBonnaud作曲賞を受賞。同年、野村国際文化財団、AsianCulturalCouncilの助成を受け、ボストン・ニューヨークへ留学。09年、YouTubeSymphonyOrchestraカーネギーホール公演にゲスト出演。現在、現代音楽を中心に、幅広い活動を展開。和洋女子大学・洗足学園高校音楽科非常勤講師。
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