ヤマハ・アップライトピアノレビュー
ヤマハ・アップライトピアノ
機種名 | 高さ | 価格 |
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YM5 | 121cm | 441,000 |
YM11 | 121cm | 514,500 |
YU10 | 121cm | 619,500 |
YU30 | 131cm | 777,000 |
YU50 | 131cm | 997,500 |
以上のモデルをベースとしてサイレント機能(+約20万円弱)やピアノプレーヤ(+約50万円弱)つきのモデルがあります。 | ||
MI102 | 112cm | 609,000 |
MI201 | 116cm | 714,000 |
MI301 | 111cm | 819,000 |
YF101C | 114cm | 724,500 |
YF101W | 114cm | 724,500 |
※価格は2004年9月時点のものです |
全モデルに言えることですが、近年のヤマハピアノの音色は澄んだ明るい音、低音から高音まで均質感のある発音をすることが特徴であると思います。また、総じて品質が高く、安定した印象を受けます。基本的にはサイズが大きくなるにしたがって価格も上昇しますが、価格と楽器の性能のバランスが取れています。そのため予算やスペースが決まっているのであれば、購入すべきモデルを決めるのは比較的簡単です。そしてどのモデルも安心して買うことができます。
アップライトピアノはグランドピアノと違って前板で発音部が覆われています。また響板を壁に向けて置くことが多く、上蓋が開けられることも少ない(楽譜などの物置になっていることも多いですね)ので、音がこもりがちになるという問題があります。これに対して、YU10~30のモデルでは、ピアノの鍵盤より上の前板に溝を設け、音が演奏者側にも届くようにしてあります。また、YU50では同じく上の前板が動いて開き、開いた前板の下端が譜面台、というよく考えられたデザインになっています。この仕組みは「トーンエスケープ」と呼ばれていますが、非常に効果的と感じました。
デザインは、四角くて黒い、一般的なものだけでなく、脚部がチッペンデールになっていたり、木目調のものも用意されています。価格はやや高くなりますが、近年はデザイン性の高いものも売れ行きが良いそうです。また、よりデザイン性を高めたものとしてMIシリーズ、YFシリーズが用意されています。これらは性能的には小型のアップライトピアノと同等ですが、一日何時間も練習することはなく「生活の中にピアノが欲しい」といった方にはこれらのモデルが相応しいでしょう。
ヤマハは電子技術についても高い技術力をもっています。10年以上前から「サイレントピアノ」を発売。真夜中でもご近所を気にしないで弾ける、ことをアピールしてきました。しかし確かに便利な機能なのですが、あくまで補助的なものとして考えるべきでしょう。消音モードにおける発音は電子音です。電子楽器とアコースティックの楽器の違いについては別項で詳細に触れることにしますが、完全に別物と考えて間違いありません。それをふまえた上で選ぶのなら良いのですが、サイレントピアノはアコースティックピアノより高額です。サイレントばかりの使用になりそうなのであれば、電子楽器の購入も選択肢に入ります。電子ピアノは、高級機でなければサイレントピアノとアコースティックピアノの差額分程度の金額で購入できます。
ヤマハのピアノはその流通量の多さから、特に国内においては実質的なスタンダードです。時としてその音には個性が無いと言われることすらあります。しかしそのヤマハも、相当顕著な個性を持った楽器であることには注意が必要です。澄んだ音とか均質感のある発音はヤマハピアノの特徴です。異なる美意識で作られた楽器は数多く存在します。しかし特に日本では、ヤマハのピアノには購入に有利な環境が揃っているのも確かです。音の良さ、高い操作性、メンテナンスがし易いという安心感、他の追随を許さないコストパフォーマンスなど、その長所はやはり多いと言えます。