ショパン国際コンクール(20)ショパン命日ミサ&大統領との謁見
2015/10/18
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ファイナリスト&審査員がポーランド大統領と謁見
三次予選結果が発表され、興奮冷めやらぬ中、翌日17日には、ポーランド大統領ご夫妻と審査員・ファイナリストが謁見する式典が行われました。
大統領に続き、審査員団を代表としてジョン・リンク先生(ショパン研究者、英ケンブリッジ大教授)がスピーチを行い、「ショパンの音楽は、ポーランドの国家財産であると同時に、われわれ全世界の人々に受け継がれているものです」と述べられました。また大統領より、審査員とファイナリストに記念品が贈呈されました。
写真:ポーランド大統領ご夫妻から記念品を贈られる、ファイナリストの小林愛実さん。今夜、ショパンのピアノ協奏曲第1番Op.11を演奏します。
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ショパン命日のミサ
また夜8時からはショパンの心像が安置されている聖十字架教会にて、命日のミサが行われ、モーツァルトのレクイエムが演奏されました。教会内には溢れんばかりの聴衆が集まり、ショパンのレリーフがある柱を見つめながら、天井を仰ぎながら、そっと涙しながら、それぞれが静かに耳を傾けていました。(第二次世界大戦中、ドイツ軍によるワルシャワ爆撃直前にショパンの心臓はワルシャワ近郊へ移され、難を逃れました。その秘話はこちらへ)
1849年10月17日ー三日三晩苦しんだというショパンが、生前最後に聴いたのはベリーニとロッシーニのアリア(歌はデルフィーヌ・ポトツカ夫人)でした。そしてパリのマドレーヌ寺院で行われた葬儀では、モーツァルトのレクイエムとショパンの葬送行進曲が演奏されました(ルイジ・ラブラシュ、ポーリーヌ・ヴィアルド、コンセルバトワール・コンセール・ソシエテ出演)。
ショパンはパリ到着後まもなく足を運んだオペラ座でロッシーニ『セヴィリアの理髪師』を聴いて、ラブラシュとマリブランの才能を絶賛し(→参考)、またマリブランの妹であるヴィアルド夫人の歌声にも惚れ込んでいましたが、その最期の時も、彼らの歌声で見送られることになりました。
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ここで、聖十字架教会でお会いした小塩真愛さん(2015年度特級銀賞)に、ショパンコンクール三次予選を聴いた感想をお伺いしました。
「一人一人個性が豊かで、同じショパンの作品なのに、その人が持つ強みが出ていて、自分からは出てこないようなアイディアを聴くことができました。同じ楽器でもこんなに出てくる音が違うんだと、感銘を受けました。アムランさん(カナダ)は音にやさしさや包み込むような空気があって、音を鳴らしているだけでなくそこに感情が含まれていて、リズム感もリリカルな感じでした。対して、オソキンスさん(ラトヴィア)は自分が見せられるアイディアやテクニックをショパンの作品に含ませて伝えたいというのが伝わってきました。またシシュキンさん(ロシア)は自分にはできないものを表現していて、力強さの中に繊細な部分もありました。(新たに発見したショパンの一面は?)ショパンの作品は繊細さや歌う部分がほとんどで優しい音楽と思っていましたが、皆さんの演奏から熱いパッションを感じました。またマズルカやポロネーズのリズムの特徴などもよく表現されていて、今回得た気づきを自分の演奏にも生かしていけたらと思います。」
写真:モーツァルトの故郷ザルツブルグに留学中の小塩さん。「ショパンの命日にこれだけの人が集まっていることが凄いと思いましたし、空気、香り、演奏・・すべてが一体化していて感動しました・・!」。
菅野 恵理子(すがのえりこ)
音楽ジャーナリストとして各国を巡り、国際コンクール・音楽祭・海外音楽教育などの取材・調査研究を手がける。『海外の音楽教育ライブリポート』を長期連載中(ピティナHP)。著書に『ハーバードは「音楽」で人を育てる~21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育』(アルテスパブリッシング・2015年)、インタビュー集『生徒を伸ばす! ピアノ教材大研究』(ヤマハミュージックメディア・2013年)がある。上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会勤務を経て現職。2007年に渡仏し「子どもの可能性を広げるアート教育・フランス編」を1年間連載。ピアノを幼少・学生時代にグレッグ・マーティン、根津栄子両氏に師事。全日本ピアノ指導者協会研究会員、マレーシア・ショパン協会アソシエイトメンバー。 ホームページ:http://www.erikosugano.com/
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