第31回 マズルカ第32番(3つのマズルカ Op.50 第3曲 嬰ハ短調)
●3つのマズルカ Op.50 第3曲 嬰ハ短調
- 〔A〕
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a 1~16小節 嬰ハ短調・・・・クーヤヴィアク
b17~24小節 ホ長調~嬰ハ短調・・・・マズール
25~32小節 嬰ト長調・・・・オベレク
a 33~40小節 嬰ハ短調・・・・クーヤヴィアク - 〔B〕
- 41~44小節
a 45~60小節 ロ長調・・・・・マズール
b61~68小節 ホ長調~嬰ハ短調・・・・クーヤヴィアク
69~76小節 ロ長調ドミナント・・・・・オベレク
a 77~92小節 ロ長調・・・・・マズール - 〔A〕
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a 93~108小節
b 109~124小節
a 125~140小節 - 〔C〕
- a 141~157小節 嬰ハ短調ドミナント・・・・クーヤヴィアク+マズール
b 157(2拍目)~180小節・・・・クーヤヴィアク
c 181~192小節・・・・クーヤヴィアク
作品50の最後では、マズルカを変幻自在に操り心のひだを表した、ショパンの成熟した音楽性を聴くことができます。複雑に絡み合うモティーフ(対位法的)、めまぐるしく変化する3つのリズムと調性、巧みに展開する和声。これらを駆使し、終盤で劇的なクライマックスが創り上げられた傑作です。
冒頭に鳴るGis音、そこから波紋のように紡ぎ出され答えのない対話を繰り返すメロディーにより、〔A〕はもの悲しさを湛えます。リズムだけを浮き彫りにした軽快な〔B〕では、何かを強く訴えるようなクーヤヴィアクが印象的。コーダ(C)はまさにジョルジュ・サンドの言う「霊感と苦悩に満ちた創作行為」であり、しかしそこに現れるのは理論を超越した音楽そのもの、ショパンの声そのものであることに感動を覚えます。
東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。ロンドン英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学。2001年第25回ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞グランプリ受賞。2002年日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2004年、2005年アンサンブル信州in宮田と共演。これまでにヤマハ銀座店、越谷にてリサイタル開催。ピアノを神野明、加藤一郎、加藤恭子、播本三恵子、倉沢仁子、C.ベンソン各氏、室内楽を土田英介、迫昭嘉各氏に師事。現在、東京音楽大学ピアノ科助手。ピティナ主催「学校クラスコンサート」、ヤマハ主催「ピアノ名曲コンサート」で活躍中。