第22番 マズルカ第23番(4つのマズルカ Op.33より 第2曲 ニ長調)
メロディーとリズムの明快さが特徴の、マズルカの中でも有名で人気の高い作品のひとつです。3種類のマズルカのリズムすべてが登場しますが、それらすべてに洗練されていない素朴さ、郷土の血をエネルギッシュに表出した外向的なショパンを見ることができます。
〔A〕(1~48小節)・・・・・・・クーヤヴィアク
〔B〕(49~73小節)・・・・・・ マズール
〔A〕(74~121小節)・・・・・・クーヤヴィアク
〔コーダ〕(122~136小節)・・・オベレク
I度とV度の和音が主体のクーヤヴィアクは4小節フレーズ。音階を上下行するフレーズがフォルテ(又はフォルティッシモ)とピアニッシモの交代だけで12回、後半と合わせるとなんと24回も繰り返されます。「24のプレリュード」や「練習曲集」でも明らかなように、ショパンもこの天文学的数字に神秘的魅力を感じた作曲家の一人です。伸び伸びと巡り続けるクーヤヴィアクのリズムには、我々人間が大地や自然から得ているエネルギーの大きさを感じずにはいられません。
中間部では一貫した符点リズムのマズールを聴くことができます。出だしのニ長調から変ロ長調、変ニ長調へと3度転調を繰り返し、ハーモニーの色合いがそのリズムにしなやかさを与えています。後半には弾むような3連符を基調にしたリズムも登場し、マズルカの特徴が色濃く現れた楽しい瞬間となります。そして皆で手を取り合い輪になってオベレクを踊りながら、宴は終わり(コーダ)に近づいていきます。主音のD音が遠くへ消えていったかと思うと、天に向かっていくかのごとく6オクターブも上のD音へと舞い上がっていきます。いなか風ムードたっぷりのリズムの最後に恍惚の瞬間が現れる、大変魅力的な作品です。
ショパンはこの作品で「居酒屋」と「サロン」の違いを表現したかったと言っています。生徒には同じメロディーを違うふうに弾くようにレッスンで指示していたそうです。ニュアンスを大事にしたショパンのその感覚を体得するのは容易なことではないでしょう...
東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。ロンドン英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学。2001年第25回ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞グランプリ受賞。2002年日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2004年、2005年アンサンブル信州in宮田と共演。これまでにヤマハ銀座店、越谷にてリサイタル開催。ピアノを神野明、加藤一郎、加藤恭子、播本三恵子、倉沢仁子、C.ベンソン各氏、室内楽を土田英介、迫昭嘉各氏に師事。現在、東京音楽大学ピアノ科助手。ピティナ主催「学校クラスコンサート」、ヤマハ主催「ピアノ名曲コンサート」で活躍中。