音楽教室からの著作権料徴収を取り下げるための署名のお願い音楽教室からの著作権料徴収を取り下げるための署名のお願い

JASRAC(日本音楽著作権協会)が、音楽教室を対象とする使用料規程案を策定し、文化庁に届け出ようとしています。
レッスン現場で著作権料が徴収されると、曲の選択に影響が生じ、学習者が幅広いジャンルの音楽に接する機会の減少につながります。文化庁に当件取り下げの指導を請願するために、署名活動を行います。

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著作権法第22条において「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する。」と定められている「演奏権」に関して、JASRACは、楽器の演奏を教える音楽教室についても「公衆に直接...聞かせることを目的」とした「演奏」にあたるとして、使用料規程案を策定し、文化庁に届け出ようとしている。

これに対し、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などが2017年2月2日に「音楽教育を守る会」を結成し、ピティナ福田専務理事も発起人として参加。「演奏権が及ぶのは公衆に聞かせるための演奏であり、音楽教室での練習や指導のための演奏は該当しない。文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない。今後は本会を通じて対応していく」との活動方針を決定。同日の専務理事のFacebookへの投稿には、いいね!8,441件、シェア3,513件、コメント362件、という多数の反響が寄せられた。

「音楽教育を守る会」では、文化庁長官に対しJASRACの使用料規程案の取り下げの指導を求める請願をするために、署名活動を開始。6月末までに50万人を目標としている。

音楽教育を守る会
音楽教育を守る会 会長 三木渡氏からのメッセージ

JASRACは来年1月より法人経営の音楽教室をターゲットにして文化庁に音楽レッスンにおける演奏著作権料の徴収するための規程を届出ようとしています。これに対して今回対象となる法人300社と将来対象となる可能性の高い個人のピアノ教室の代表としてピティナが「音楽教育を守る会」を結成し、反対運動を行っております。
音楽教室における先生の演奏は指導を目的としており、著作権法の演奏権に規定された聞かせる事の目的とは明らかに異なります。また私たちの民間の音楽教室は、学校教育では達成できないより専門的な教育を担っているという自負を持っており、学校法人と差別される事も理解出来ません。(JASRACは、『学校法人になれば』徴収しないと発言しています。)
この度、「音楽教育を守る会」では我々の主張を文化庁に届けるべく署名活動を開始致しました。皆様におきましても是非署名活動にご参加頂きたくご案内申し上げます。

署名活動への参加方法は別紙にてご案内致しますが、ご留意頂きたい事が二点ございます。
最初に18歳未満の方からの署名の禁止です。自身でしっかり判断出来る選挙権を持つ18歳を基準と致しました。
二つ目が強要は決して行わない事です。色々なご意見をお持ちの方が当然いらっしゃいますので無理な署名のお願いは逆効果になりかねません。正しくご理解頂き賛同頂ける方から署名をお願い致します。

また、紙面での署名に加えて、ウェブでの署名も展開しております。音楽教育を守る会のウェブサイト上にリンクバナーがございますので、そちらから署名いただいても結構です。
音楽教育を守る会公式サイト

一人でも多くの方の署名が文化庁による演奏著作権料の規程の取り下げ指導を得る道となります。
皆様の積極的なお取組をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

音楽教育を守る会 会長 三木 渡(一般財団法人ヤマハ音楽振興会 常務理事)
各方面からの反響

私たちは、生徒さんに、演奏ではなく、指導を提供しています。レッスンの中で、短いフレーズを弾いてみせることを演奏と考えるのは「こじつけ」としか思えません。私たちは未来の音楽愛好家を育てているのに、CDを買ったり、演奏会に出掛けたりする人口を減らす行為につながる施策です。

勢志佳子先生(ピティナ評議員・大阪支部長)

上記のコメントに象徴される通り、レッスンから著作権料が徴収されると、使用曲の制限や月謝の値上げ等、対応せざるをえなくなるピアノ指導者からは、当然ながら反対意見が出されること必至だが、作曲家の側からも懸念の声が相次いでいる。

小山和彦先生(ピティナ評議員/2000年新曲課題曲賞)

JASRACが音楽教室から著作権料を徴収することに、私は作曲者の立場からも大反対であることを表明いたします。しかも各作品の使用状況に応じて適正に著作者に著作権使用料を徴収するのではなく、音楽教室の全収入に対して2.5%を乗じた額を徴収するというのは全く理解できません。このことは、すでに著作権が切れた作品からも不当に著作権料を徴収していることにもなります。もし、音楽教室で使用する教材が、すべて著作権が切れたもので、それを証明したとしましょう。それでも著作権料を徴収するのではあれば全く不当な取り立てということになります。また、著作権を管理している作品がどのような状況で使用されたかを調査せずに著作権料の徴収が行われるのであれば、これまた問題です。このようなどんぶり勘定の徴収であるなら、著作権者に対して公正に使用料が分配されることは決してありません。

いずれにせよ、この件は音楽教室の指導、経営上の問題だけではないと思います。音楽教室など、音楽を指導する現場は、新しい作品を教材として用いることに対して萎縮することでしょう。文化を育むという観点からは、この問題は全く時代に逆行しています。

私個人としては、音楽教室からの著作権料徴収を望みません。今を生きる作曲家から生まれた作品が教育現場で取り上げられ、生徒さんたちにも接していただくことが極力自由になされることにによって、人と人とのふれあいと音楽環境が活性化し続けることを望んでいます。そのためには、この取り立ては人間どうしのコミュニティをよどませることになるのではないでしょうか。

最後に、私はJASRACの信託者であることも付け加えておきます。

後藤ミカ先生(ピティナ正会員/2016年新曲課題曲賞)

この度のJASRACの方針で、将来的に、ピアノレッスンの現場では、著作権の切れた古い作曲家の作品だけが取り上げられるようになるのでは、と危惧しております。特に芸術的な邦人の作品に触れる機会が減り、音楽界全体の縮小のスパイラルが懸念されます。子どもたちへの教育が、広く自由である事を祈ります。

徳備康純先生(ピティナ作曲会員/2012年・2013年新曲課題曲賞)

現在の日本の音楽教育が、公教育だけで次世代の音楽家を育てる、その機会をもうけることが出来ずにいる中、それを補完するものとして、音楽教室などが果たしている役割は、甚だ大きいと考えています。
まさに教育機関である場所で、子供達に聞かせる音楽は、鑑賞であろうがなかろうが、それは歴とした教育活動であるにも関わらず、そこに著作権の使用料が発生していると主張するJASRACの態度は、次世代の文化を壊すことにも等しいと考えます。
また、少数のいわゆる小口の著作権使用料は、ほとんどが手数料としてJASRACに入り、本来の権利者に支払われるのか、甚だ不透明に思われます。
小ホールで徴収された使用料などはどこに行っているのかと思うことと、教室での使用料が誰に支払われるのかというものも、同じところにあります。
次世代の音楽家を育てる人たちを、教室を、もっと大切にしてほしいと思います。

安倍美穂先生(ピティナ正会員/千葉白井「音で遊ぼう」ステーション代表/2008年~2012年で新曲課題曲賞を5曲受賞)

私はどちらかと言えばピアノ指導がメインの活動ですが、作り手として考えてみました。

JASRACにはお世話になる立場ですが、出版社さんに全てお任せしているので、正直、詳しい仕組みまでは把握できていないかも知れません。もちろん、違法コピーの問題など、創作物をやたら自由に使っていいものではない、という姿勢は大前提ですが、作り手の心情としては、音楽教室を含むレッスンの現場で「こんな曲があるよ」と先生が紹介する程度のことで演奏権云々を主張する方はいらっしゃらないかと思います。

たくさんの人に自分の曲を知っていただくことが、まず喜びです。少なくとも教育の場では、この曲には著作権料がかかるから、といった制限なしに、さまざまな曲に触れていただきたいと思います。ある1曲との出会いがその後の音楽人生につながった、という話もよく聞きますし、自分にも経験があります。

現実的なところで、使用料の徴収が包括的な契約となったら、作曲者には、ふさわしい額が支払われるのでしょうか?
今回のJASRACの動きは、作曲者の思いからは遠いところにあり、作り手の権利を守るため、という意図も見えてこないように感じます。

大政直人先生(ピティナ正会員/日本作曲家協議会理事・JASRAC会員)

JASRACの言い分によれば、先生が生徒に次の曲を決めさせるために何曲か曲の冒頭を演奏すれば、それは当然ながら支払いの対象になります。しかしそれが公衆での演奏と言えるでしょうか? またレッスンで先生が「そこはこう弾こう」と言ってドレミで歌っても公衆での演奏になります。
これらの例に限らずレッスンでの指導から演奏使用料を徴収するという事は、著作権料を取るという大前提があってのこじつけにしか思えません。
私の曲をレッスンで使ったからといって演奏使用料をもらいたいとは全く思いません。それが良心のある多くの作曲家の考えであると信じています。

当案件について、ご賛同の意思をお持ちの場合には、ぜひ署名にご協力いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

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