古都奈良から歌劇アイーダまで、どんな情景も伝える
G級
中村優似 さん
★演奏曲目★
ヴェルディ=リスト:歌劇「アイーダ」より
神前の踊りと終幕の二重唱 S.436
◆どのようにしてピアノを始められたのですか?
1歳になる頃からピアノは触っていましたが、母が音楽教室の講師だったので、自然にその教室に入りました。
◆その先生に今も習われているのですか?
いえ、今の先生(江口文子先生)に習い始めたのは、先生が毎年開催されているアカデミーに参加したことがきっかけです。
◆ピティナ・ピアノコンペティションに出場されたきっかけも、その先生のお勧めがあってのことでしょうか。
コンペに出ようと思ったのは、母の勧めでした。私自身も「挑戦してみたいな」って思ったんです。それから今に至るまで、ずっと受け続けていますが、自分の納得のいく演奏ができなくて、何度も同じ級を受けたこともありました……。でも、2012年にF級へ挑戦するようになった頃には、音楽の道に進もうと決めていたので、賞を獲るという目的以外に、自分の成長に繋がる勉強をするためにも受け続けています。
◆毎年、上へ上へ挑戦してくださり、ありがとうございます。それでは2013年度の課題曲はどのようにして選ばれたのですか?
2013年度は、先生に勧めていた曲の中から、強く「弾きたい!」と感じた「ワーグナー=リスト/イゾルデの愛と死」を中心に、先生にアドバイスをいただきつつ選曲しました。特に決勝のプログラムは、5曲を並べた時に一つのストーリーとなるように考えました。
◆演奏時間が最長35分となるG級では、それまでの級より選択肢も増え、今まで以上に選曲が難しかったことと思います。予選通過後は本選に向けてどのような練習をされたのでしょうか。
各時代の様式を踏まえて、特にバロックと古典派の曲を演奏する際に、ロマン派のような歌い方にならないように気を付けました。
◆「バロック」「古典派」「ロマン派」「近現代」の四期の弾き分けは難しいですよね。では、本選通過後は決勝に向けてどのような練習をされましたか?
決勝で初めて、「徳山美奈子/ムジカ・ナラ」という、時代は近現代でも、曲の背景がバロックよりずっと昔の「奈良」の曲を演奏しました。徳山さんのほかの曲を聴いてみたり、奈良の大仏をイメージしたり……ストーリー性のある曲だったので、色々なことを想像して表現しました。今までに弾いたことのない雰囲気の曲で、練習も楽しく進めることができました。
◆バロック期より千年も昔にあたる奈良時代を、ピアノで表現するというのは難しくも面白いことですね。G級での銀賞のご獲得、おめでとうございました!
ありがとうございます。決勝では色々な気持ちをもって臨みましたが、力不足だったと感じていましたので、自分の名前が呼ばれたときは本当に驚きましたし、それまでお世話になった方々への感謝の気持ちでいっぱいでした!
◆今後の更なる挑戦に期待しています! さて、入賞者記念コンサートでは何を演奏してくださるのでしょうか?
入賞者記念コンサートでは「ヴェルディ=リスト/歌劇『アイーダ』より神前の踊りと終幕の二重唱」を演奏します。「ワーグナー=リスト/イゾルデの愛の死」を演奏したことがきっかけで、リストのトランスクリプションに惹かれていたんです。他の曲も色々と聴いた時に、この曲がとても気に入りました。
◆タイトルだけで心惹かれるような曲ですから、当日の演奏が楽しみになってまいりました。そんな入賞者記念コンサート当日の意気込みをお聞かせください。
ありがとうございます。今回演奏する曲は、オペラ『アイーダ』の一部分ですが、そこからオペラ全体の世界観や、情景を思い浮かばせられるような演奏ができるように頑張ります!
◆それでは最後に、次の目標に向けての抱負をお願いします。
自分の技術を磨くことに加えて、その作曲家の曲をたくさん聴いたり、曲の背景を調べたり、海外で経験を積んだりして、作曲家の意図や作品の魅力が伝わる演奏ができるようにという自分の目標へ、一歩ずつでも近づいていきます。
(取材日:2014/01/23)