作曲家の本質を掴み、直感で躍動する
F級
横井綾太 さん
★演奏曲目★
ドビュッシー:前奏曲集 第1集・第2集より
アナカプリの丘、風変わりなラヴィーヌ将軍、とだえたセレナード
◆ピアノを始められたきっかけは何でしたか?
母がピアノを教えているので、小さい頃から音楽の中で育ってきました。なので、自然とピアノを始めた、という感じですね。幼稚園の年長の時に、母からピアノを教わり始めました。
◆お母様のご指導でピアノを始められたんですね。お母様のレッスンはいつ頃まで続かれたのでしょう?
ピアノを始めて2ヶ月くらい経った頃から、他の先生のレッスンにも通い始めました。これまでに、江夏範明先生、久保山千可子先生、また、海外の先生のマスタークラスもたくさん受講し、ご指導いただいてきました。2012年からは、永野栄子先生にレッスンしていただいているのですが、今は高校受験のためレッスンはお休みして、ピアノは母に見てもらっています。
◆そうでしたか、受験生ということで、今年度のコンペティション出場は迷われたのでは?
コンペにはA1級からずっと出場してきたので、今年もその流れで自然と受けた、という感じです。「ステージで弾いてみたい!」と思ってコンペに参加し始めたのが最初のきっかけでしたけど、今ではステージに立つのが習慣になってきて。月に1度は、コンクールやピティナ・ピアノステップ、地域の学校訪問コンサートなどで演奏しています。
◆受験の年でも毎月の本番とは、精力的にピアノに取り組まれているのですね。コンペにはA1級からずっと参加してくださっていますが、課題曲はどのようにして選ばれているのでしょう?
選曲は、いつも直感ですね! 音源を聴いたり、楽譜を見たり、実際に弾いてみたりしているうちに、「これだ!」という曲が見つかるんです。
◆今回も、「これだ!」という曲が見つかったのでしょうか。
はい、今回も、数日間じっくり考えて、「これしかない!」という4曲を選びました。特に気に入ったのが、「モーツァルト/ピアノ・ソナタ KV457 第1楽章」ですね。以前からモーツァルトでコンぺに出場することは多かったのですが、今回は、今の自分にピタリとはまった気がして。コンぺが終わった今でも、よく弾いています。
◆入賞された今から振り返ってみれば、直感が大当たりだったということですね。モーツァルトは本選で選択されていますが、どのような練習をされましたか?
モーツァルトと、もう一つはリストを選んだので、とにかく2人の曲をたくさん聴いて聴いて聴いて、勉強しました。自分が弾く曲だけに限らず、そしてピアノソロの曲だけではなく、オケの曲までもです。ひたすら色々な音源を聴きました。
◆作曲家の「色」や「味」というようなものを掴む練習とでも言えそうですね。では、本選から決勝までの短い間では、いかがでしたでしょう。
ここまで来たら、“自分らしく弾く”ということを意識して練習しました。ステージで演奏する機会もたくさんこなして、自分らしい演奏とは、ということを深めていきましたね。それから、コンサートにも多く足を運びました。ピアノに限らず、声楽や弦楽など、やはり色々な演奏を聴きました。
◆わずかな期間にも、いくつものステージを踏んでいたのですね。ひたすら課題曲を練習されることであっという間に時間が過ぎていくのでは、と思いましたが、絶えず感性を磨かれていることに驚きです。そんな努力が実っての受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。決勝大会では自分なりに満足な演奏ができたので、結果はそんなに気にしていなかったんです。なので結果を聞いたときはびっくりしましたが、賞をいただけて光栄です!
◆それでは、入賞者記念コンサートへの意気込みをお願いします。
僕はいつも、自分が納得いく演奏をしたいと思って練習しています。コンサート本番に向けて、さらにたくさんのステージを踏んで、自分なりのドビュッシーを聴いていただけるように頑張ります。
◆最後に、今後の目標を教えてください。
今後ともたくさんのコンクールに果敢に挑戦していきたいと思っています。それと、今までも何度か、オーケストラとの共演でピアノコンチェルトを演奏する機会がありまして、とても刺激を受けました。なのでコンチェルトをもっと演奏していきたいという気持ちが強くあります!
(取材日:2013/11/21)