繰り返す自省についてくる結果
2台ピアノ上級
橋元泉穂 さん
★演奏曲目★
ローゼンブラット:カルメン・ファンタジー
◆今年初めてピティナのコンペを受けてくださった理由をお聞かせください。
同じ大学で、今回のペアとなった植田味香子さんからのお誘いです。植田さんはピアノの先生をされていて、生徒さんを200回以上もピティナ・ピアノコンペティションに出されています。
◆植田さんとは古くからのお知り合いなのですね。お二人は別々の県に住んでいらっしゃるようですが、練習はどのようにされているのですか?
二人とも忙しく、なかなか2台の合わせ時間が取れませんでした。合わせの際には、私の自宅に来てもらったり、それから中間地点となる大阪に練習室を借りたりしました。
◆県外での出張練習ですか……! デュオ部門では、個人個人の練習とは別に、合わせの練習時間も確保しなければならないので大変だったことと思います。コンペで演奏された「吉松隆/ランダムバード変奏曲Op.23」はどのようにしてお選びになったのでしょうか。
以前、演奏会で弾いたときの評判が良かったという理由で、植田さんの恩師に勧められたのが、この≪ランダムバード変奏曲≫だったんです。
◆激しくて、躍動感のある曲ですよね。予選通過後はどのような練習をされましたか?
やはり1台の響きには限界がありますが、第1ピアノと第2ピアノとの左右のバランスをとることが大変重要でしたので、音量だけでなく、音質のバランスをとることをも重点的に練習しました。
◆橋元さんは2台ピアノだけでなく、連弾もされたことがあるとお聞きしましたが、練習の際、どのような点が2台ピアノと連弾では異なるのでしょうか。
バランスを調整しながら曲を仕上げる、という点はどちらにも共通ですが、むしろ連弾の方が、メロディーを浮き立たせることと、ペダリングが大変ですね。右の人が弾く旋律を浮き立たせるために、左の人がペダルを踏まなければならない、というシチュエーションも出てきますので、独立してそれぞれある2台ピアノとは、そこが大きく異なる点かと思います。
◆確かに1台のピアノを二人で演奏するとなると、ペダリングの問題は大きいですよね。見事第1位を獲得されたときのお気持ちはいかがでしたか?
ここ15年間、ピアノを楽しくは弾いてきましたが、「これで良かったのかな?」と思うことも多々ありました……。そのような中、今年、第1位という形で認めてもらえたことで、本当に安堵しました。
◆本当におめでとうございました! それでは、入賞者記念コンサートで演奏される「ローゼンブラット/カルメン・ファンタジー」は、どのようにして決められたのでしょうか。
ありがとうございます。どうしてもコンペでは、技術力や表現力が試されるような曲を選ばなければなりませんが、次はコンサートなので、華やかなイメージのある曲を選びました。この曲は演奏効果もエンターテインメント性も高いので、入賞者記念コンサートにぴったりだと思います。
◆お二人の演奏を耳にするのがとても楽しみです。では、入賞者記念コンサートに向けての意気込みをお聞かせください。
せっかく第1位をいただいたので、その名を汚さぬよう「さすが1位!」と思ってもらえるような、そしてお越しくださる皆様に楽しんでいただけるような演奏を、お届けしたいと思っております。
◆ありがとうございました! 最後に次の目標に向けての抱負をお願いします。
これからも植田さんとともにそれぞれに演奏活動を進め、音楽を熟成させたいと思います。今は華やかな曲を演奏する機会が多いのですが、これから50歳、60歳になって、シューマンやブラームスなど、内面的に深いものが弾けるようになることが私の目標です。
(取材日:2013/11/19)