「絶体絶命」!?の気持ちで常に「全力投球」!
D級
谷昂登 くん
★演奏曲目★
ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 Op.23-5
◆ピアノを始められたきっかけを教えてください。
僕はお母さんのお腹の中にいるときから、ピアノの音に合わせて動いていたそうです。生まれてからもお兄ちゃんのピアノの練習を横で聞いていて、3才になった頃には一緒にピアノのレッスンを受けていました。
◆生まれる前からピアノを聴かれていたということでしょうか。驚きです! 今、教わっている先生とはどのようにして出会われたのですか?
お兄ちゃんが地元のコンクールを受けたときに、永野栄子先生が審査をされていたんです。その時、講評用紙にコメントと一緒に先生が書いてくれていたのが、キリンの絵で、「おもしろそうな先生だな」って思いました。その後、縁あってお兄ちゃんと一緒にピアノを習うようになったのが始まりです。
◆講評用紙にキリンの絵って、確かに子供心がくすぐられますね。はじめてピティナ・ピアノコンペティションに出場されたきっかけは何だったのでしょうか。
コンペを受けるより前に、ステップを受けました。お兄ちゃんが受けるってなったとき、「この子も一緒に連れて行くんだから、せっかくなら弾かせてあげよう」って、母が申し込んでくれたんです。ぼくは足台を一番上にしても届かないくらい小さかったし、そのときまだオムツもしてたんですけど(笑) ちゃんと弾けました! そうしたら、ステップの次にはコンペも、という流れで。
◆とてもお若いときから挑戦してくださり、ありがとうございます。今回はD級を受けてくださっていますね。
今回は、ちょっと背伸びでチャレンジの年にしようと思って、D級を受けることにしました。去年1年間コンペに出場しなかったのですが、目標がないと、なかなか力がつかないなーってことが分かったんです……。
◆上へ上へ、挑戦し続けることが大切なのですね。とてもよく分かります。では今年度の課題曲はどのようにして選ばれたのですか?
D級の曲を先生に弾いていただいたり、ピアニストの演奏を聴いたりしました。指がしっかりと届かない曲もあったんですが、自分が「弾きたい!」という気持ちを優先して選びました。
◆ご自分の好きな曲を選ぶことが、楽しく練習をすることに繋がるのかもしれませんね。予選通過後はどのような練習をされたのでしょうか。
作曲者の思いや、作られた当時の時代背景をもとに、曲をイメージすることを一番大切にして練習しました。曲の場面場面に合う絵を図書館の画集で探しながら、自分なりのストーリーをつくっていきました。
◆音楽を絵に置き換えることで、イメージがしやすくなるのですね。では、本選通過後はいかがでしょうか。
「15分間のプログラムをミスなく弾き通すこと」というのは、最初は無謀な挑戦のように感じてしまったんです……。母も先生も青くなっていました。でも、毎日「全ての曲に全力を注ぐ」のではなくて、「今日は、どの曲を中心に練習するか」を考えて、計画的に練習していくことによって、最後には出来るようになったんです! 何事も「為せば成るんだな」って思いました。
◆ただがむしゃらに練習するだけでなく、計画的に練習することで苦手も克服できるのかもしれませんね。銀賞のご獲得、おめでとうございました!
ありがとうございます! ぼくの好きな言葉の一つに「全力投球」があります。野球をすること、鉄棒や縄跳び、走ることはもちろん、勉強でも「全力投球」を心がけています。ピアノの練習も悔いが残らないように「全力投球」でした。でも、まだまだ修行がたりません! !
◆これからももっと上を目指して「全力投球」ですね! 入賞者記念コンサートでは「ラフマニノフ/前奏曲 ト短調 Op.23-5」を演奏してくださいますね。
いろんな作曲家の曲を弾いてみたかったので、今回は僕の大好きな、暗くて重量感のあるラフマニノフを選びました。小さな手と小さな身体で、この大きな曲をどこまで表現できるか、限界にチャレンジしたいと思います。「絶体絶命」がんばります!(※編集注:お母様曰く、「昂登はなぜかこの言葉がお気に入りです。どこまで意味を理解しているのか……」)
◆谷さんのラフマニノフ、とても楽しみです! ではここで、入賞者記念コンサート当日への意気込みをお聞かせください。
入賞者記念コンサートで、憧れのラフマニノフの曲を演奏できることを嬉しく思います! ぼくは、手も身体もまだ小さくて、ラフマニノフにはかないませんが、ロシアの広い大地と、そこに響き渡る鐘の音、曲に込められた苦悩やにじみ出る表情の暗さを、今のぼくにできる精一杯の力で演奏します。勇壮な歩み、Alla Marcia! ぼくも、一歩一歩前進します!
◆ありがとうございました。谷さんのやる気がこちらまで伝わってきました! 最後に、次の目標に向けての抱負をお願いします。
失敗をおそれず「チャレンジ」していきたいと思います。ピアノをただ弾くだけでなく、目(見る)、耳(聴く)、鼻(匂う)、口(味わう)、手(触る)の五感と心とをみがいて、ピアノの練習をしていきたいです!
(取材日:2013/12/15)