舞曲から抒情曲まで、まさに舞うように

B級
中山寛 くん

★演奏曲目★

グリーグ:
「抒情小曲集」より アリエッタ Op.12-1、小川 Op.62-4

◆ピアノを始められたきっかけは何でしたか?

小さいころから、童謡を聴いたり、おもちゃのピアノで遊んだりと、音楽に触れるのが好きでした。それでお母さんが、「ピアノのレッスンに行ってみる?」って勧めてくれて。

◆それでレッスンに行き始めたのですね。先生はどのように選ばれたのでしょう?

友達が黒木和子先生の教室に通っていて、ちょうどいいタイミングでピアノの発表会があったんです。行ってみたら、生徒の皆さんの演奏に感動して、「僕も黒木先生のレッスンに通いたい!」って思いました。それでレッスンに通い始めたのが、5歳半の時です。

◆お友達の発表会から良いご縁に恵まれたのですね。ピティナ・ピアノコンペティションを受けられたのは、先生のおすすめですか?

はい、初めてコンペを受けたのは小学校1年生の時でした。先生から「受けてみない?」って誘ってもらえたのがきっかけです。その前の年に、別のコンクールでメヌエットなどを弾いていたので、舞曲をさらに深めよう、って思って、出ました。去年もB級で出たんですけれど、今年は、四期の課題曲をもっとじっくり深めたいと思って参加しました。

◆では、今年の課題曲を選ぶポイントは四期をいかにして深められるか、というテーマだったのでしょうか。

そうです。課題曲は全曲聴いたり弾いてみたりしました。毎年、舞曲に取り組んでいるので、今回もやっぱり「舞曲ははずせない!」って思って、モーツァルトのメヌエットを選びました。また、近現代の「スチャストニー/ちょうちょう」は、聴いて弾いて気に入って、「絶対に弾きたい!」って思いました。

◆中山さんにとって“舞曲”は大きなキーワードなのですね。「モーツァルト/メヌエットとトリオ」は本選で弾かれていますが、予選通過後から本選までにどのような練習をされましたか?

特に、踊りのステップを意識して練習に取り組みました。弾いているだけではなく、実際に先生と踊ってみたり。それから色々な楽器によるメヌエットを聴き比べてみたり……。当時の舞踏用のドレスってどんなだろう、と思って、見てみたりもしました。

◆本当に「深めよう!」っていう気持ちが練習にあらわれているのが分かります。本選から決勝までの短い間では、いかがですか?

本選を終えたとき、決勝まで後10日間しかなかったんです。まず、予選・本選で審査員の先生方からいただいた講評を読み返して、これまでやってきたことに確信を持てるように、4曲続けて弾くって気持ちをしっかり保って、練習に取り組みました。特に、ペダルの使い方です。ただ楽譜に書かれているからっていうだけじゃなく、響きを自分の耳で確かめ聴きながら踏めるよう、練習しました。

◆どうして楽譜にその指示が書かれているのかまで、深く考えられた10日間だったのですね。その本番直前までされた「深める」という練習が結果となったのですが、表彰式で発表された時のお気持ちはいかがでしたか?

本当にびっくりしました。僕はB級のいちばん最後に名前を呼ばれたので、信じられなくって……。驚いたままステージに上がって、もう一度名前を尋ねられたときに、「あ、本当なんだ!」って思って、嬉しさがこみ上げてきました!

◆金賞受賞、本当におめでとうございました。それでは、今回の入賞者記念コンサートの曲目を選んだ理由を教えてください。今回は「グリーグ/抒情小曲集」の中から、舞踏ではないものを選ばれていますね。

はい、叙情的な曲も好きなんです。「アリエッタ」と「小川」はすごくそのイメージがしやすいと思って選びました。まだ手があまり大きくないので難しい部分もあるんですけど、この曲なら乗り越えられるって信じています! とてもきれいな曲で、気に入っているんです。

◆メヌエットを深めたようなこだわりで、叙情的な曲が演奏されるのですね。当日が楽しみです!

ありがとうございます! 当日はおばあちゃんも聴きにきてくれるので、晴れ舞台を見せたいなって、すごく楽しみです。会場のみなさんにしっかり届くように、美しい響きで演奏したいと思います。

◆ぜひ美しい旋律を奏でて下さい。最後に、これからの抱負を教えていただけますか?

今年は、発表会では初めて弦楽器とのアンサンブルをしたり、学校の音楽会では二部合唱の伴奏でジャズ調の曲を弾いたりしました。それがとても楽しかったので、ソロだけではなく、歌や楽器とのアンサンブルにどんどん挑戦していきたいです!

(取材日:2013/11/18)

演奏動画