「作曲家」をテーマに、18組18様のステージ
桜が満開の4月5日(日)、東京・バリオホールにて、「春休みピアノトークコンサート祭り」が開催された。全国各地のピティナ・ピアノステップで行われている「トークコンサート」を、1日に集めた特別企画の第二弾。各ジャンルの専門家から特級グランプリや国際コンクール覇者まで、現在活躍中の18組の若手ピアニストが集い、各15分のトークコンサートを披露していただいた。
18人の主要な「作曲家」が、今回の共通テーマ。それぞれ担当した「作曲家」を、どのような切り口でテーマ設定し、どんな選曲で、どんなトークや映像を盛り込むか――。15分のコンサート作りは、出演者1人1人に委ねられた。そして、いざ開演してみると、18組18様の実にバリエーション豊かなステージとなった。 トークコンサート動画一覧はこちら | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
・・第1部・・
・・第2部・・
・・第3部・・
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作曲家の世界観・音楽性
どのトークコンサートにも、共通して言及されていたのが、作曲家のもつ「世界観」や「音楽性」についてだ。定番曲を取り上げながら、その曲が生み出された作曲家の「愛国心」や「機知」について述べたもの。作曲家のもつ「幻想」の世界を、夜、祭、夢といった観点から伝えたもの。作曲家の祖国の「文化」や「慣習」が、演奏曲の作風にどう反映されているかを音とともに示したもの。作曲家の「民族性」を、当地の「言語」や「楽器」とピアノ作品とを結びつけながら解説したもの。また、大作曲家と子どもたちの距離を近づけようと、私生活のエピソードを盛り込んだり、当時の写真を映写しながら、大作曲家の人間的な魅力を紹介したりしたものもあった。奏者自身との関連付け
聴衆にとっては、ステージ上の演奏者にも興味を抱くもの。作曲家と「自分自身との関係」を切り口に、なぜこの作曲家を尊敬し、今日のテーマに選んだのか、という奏者自身の率直な気持ちや体験談を織り混ぜながら、作曲家の魅力、作品の特徴を表現したものも好評だったようだ。
他ジャンルとの関連付け
他のジャンルと関係付けながら、ピアノのもつ幅広さを伝えたものも多かった。一作品を、クラシック、ジャズの様々なスタイルで「即興」アレンジしたもの。音楽の授業でも題材とされる有名な「交響曲」のフレーズと関連付けながら、同作曲家のピアノ曲を紹介したもの。「オペラ」の編曲を演奏しながら、オペラの舞台シーンを映写したもの。「変奏曲」や「編曲」に焦点をあて、なぜその原曲を主題に選んだのかを探りつつ作曲家の特徴を紹介したもの。「連弾」の演奏を通して、2人で1つの音の響きを作り出していく過程を説明したものなど、アプローチ方法は様々だ。演出の工夫も
今回、全ての奏者が「映像」を利用した。作品のタイトルに因んだ「情景」を、演奏の冒頭で投影された後は、聴衆自身も思い思いに情景を想像した。また、演奏前に「楽譜」を表示し、音域の変化やテンポ設定の解説を入れたことで、聴くポイントがわかりやすくなったという声もあった。
今回の聴衆の半数は、小・中学生。当時の作曲家が思い描いた子どもの世界を、「絵本」の挿絵とともに紹介したものもあった。コンサート中、聴衆参加型の演出も。「曲名当てクイズ」を入れたものもあれば、手拍子や掛け声で「ステージと観客席とのアンサンブル」が展開される場面もあった。子どもたちも積極的に参加していたようだ。 当時の楽器体験
作曲家の時代に使われた様々な鍵盤楽器が、映像中に登場したほか、チェンバロ、クラヴィコードの実演も行われた。初めて聴いた当時の音色に、子どもたちは興味深々。終演後のステージは、古楽器を囲むように子どもたちの長蛇の列ができていた。「自分がこの作曲家をテーマに15分のトークコンサートをするとしたら・・・?」と考えながら、鑑賞された方もいたという。濃密な15分間を18組分も満喫できた、今回のコンサート。延べ1,000名近い親子が来場した。春休み最後の日曜日、さまざまな「ピアノ」を親子で満喫されたようだ。子どもたちのピアノとの距離を縮め、音楽への興味をいっそう広げてくれたのではないだろうか。
|
【GoogleAdsense】