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夏休み ピアノトークコンサート祭りレポート
8月8日、9日、北とぴあつつじホールに24組のアーティストたちと多くの親子連れが、夏の一時をコンサートで楽しもうと集った。地元・北区の子ども達を中心に、夏休みの旅行も兼ねてと遠方からも来場があり、2日間でのべ1227名の方たちが会場を賑わせた。今回の企画では、24組のピアニストたちが"15分"という短い時間をそれぞれのテーマでプロデュース。個性的な生の演奏とトークにより息を吹き込まれ、まさに24組24様のライブ感あふれるコンサートが綴られた。
・・第1部・・
トップバッターは久元祐子先生。ピアノの先祖"ピアノフォルテ"が本格的に使われるようになった時期に、最も早くコンサートを開いたヨハン・クリスチャン・バッハと、影響を受けて成長したモーツァルトのピアノ・ソナタを、肖像画や2人が出会った場所の写真とともに紹介。
林苑子先生は、地中海交通の要衝だったイタリア・シシリー島の波のリズム"シチリアーノ"のテーマが、地中海から内陸へ伝わり、各国の作曲家に使われた様子を示した。「ではこれは"シチリアーノ"でしょうか?」
今野早苗先生と菅生晴美先生はアニメやミュージカルの曲をデュオで華やかに演奏。聴衆も物語の世界へ惹き込み、ドレミの歌では大きな手拍子!おまけの「ノミの歌」が「ネコふんじゃった」とわかり会場が沸く。
中川京子先生は誰もが憧れるショパンの魅力、"レガート"に注目。打楽器であるピアノではレガートは実は難しいもの。指の用い方などの実演を交え解説。艶やかな演奏に会場も息をのんだ。
仮 伊賀あゆみさんのテーマは"フィギュアスケート"。実はこの音楽をフィギュアで表現したいと荒川選手が選んだという「誰も寝てはならぬ」、浅田真央選手が踊った「ノクターン」や「チャルダッシュ」では華やかな演奏に盛り上がった。 丹内真弓先生も加わり、モーツァルトのソナタを夏にぴったりのボサノヴァバージョンにして連弾。丹内先生のソロではメトロノームをビートを刻む"共演者"と見立てたり、四拍子を三拍子に変えたり「どんぐりころころ」を悲しくしたり、テンポよく曲を様変わりさせた。
・・第2部・・
数学教師である金子一朗先生は、"「円」って何で名前がついているの?"と身近な形のお話から、ばらばらのものにルールを作り、組み合わせて複雑なものを作る点から数学と音楽との共通点を語り、ドビュッシーの音楽で色を添えた。
広瀬美紀子先生は、自ら採譜した日本の『砂の器』と、地球の裏側のアルゼンチンのピアソラのプログラムに、金子みすずの詩のメッセージを込め、"音楽も人間も、みんな違って当たり前"と語りかけた。
村井頌子先生は「国と時代が違うと音楽も違う」と、バロック音楽の基礎となったダンスのステップで実演。「ただ3拍子と言っても、同じ長さ、音量で並べるのではなく、伸び上がったり飛んだりする拍があります。」
中井正子先生はドビュッシーの「喜びの島」を、まずいくつかに分けて演奏しながら「喜びの島が見えたぞ!」とストーリーと音楽の流れを解説。それから1曲通して演奏すると、今聞いた光景が目の前に浮かぶ。
今井顕先生が掲げたテーマは"言葉"。「ベートーヴェンやモーツァルトの作品をきちんと伝えるには、日本語ではなくドイツ語のアクセントで弾きましょう。」と、スラーと喋りの強弱を分かりやすく実演した。
8日最後の演奏となったのは川井綾子先生。"月の光"を題材にした3曲を取り上げ、"月"の静寂、逆に激しさも秘めた妖しい魔力...と、"月"の見せる様々な表情を音に描き出す。「どんな月が似合いますか?」
・・第3部・・
各地で人気の武田一彦先生のショパン。同じエチュードでも「エオリアンハープ」の美しいハーモニーと、怒りの感情の混ざった「革命」とで色合いが異なる。これらがまだ20歳前後に作られたということも驚きだ。
伊藤仁美先生は"憧れの名曲の雰囲気を小さい頃から味わえる"と、ギロックの「セレナード」とショパンの「ノクターン」、「スペインの休日」とファリャの「火祭りの踊り」を並べて弾いてみせた。
西畑久美子先生は"夏"をテーマにプログラミング。「お母さんも一緒に歌ってくださいね。」と日本の夏の歌をメドレー。スクリーンには曲にあわせた"海"や"尾瀬"のイメージが投影され、雰囲気を演出した。
田中克己先生はゴリウォーグのケークウォークなどを絵本を使って分かりやすくお話。鳥や動物をテーマにした曲では動物あてクイズでは、あたった子に「がんばってね。」とエルモの人形がプレゼントされた。
宮澤むじか先生はお洒落の国・フランスのエッセンスを音楽で伝え、会場の子供たちもちょっと背伸び。サティでカフェの音楽を、ドビュッシーで自然を、プーランクでシャンソンの雰囲気を味わった。
「本日は豪華客船"北とぴあ号"にご乗船ありがとうございます」と音楽の世界旅行へ誘ったデュオおさの。『初秋から秋へ』で日本を出発した船は、トークと連弾の滑らかな波に乗り、ドイツからフランスへ。
・・第4部・・
昔から切っても切れない関係にある音楽とダンスのリズム。1日目司会を務めた高木早苗先生は各国の新しい時代の作曲家の作品で紹介すると、最後は「リベルタンゴ」の勢いよい演奏で締めくくった。
多喜靖美先生の「お話とピアノ演奏」では童話『ながぐつをはいたネコ』の朗読(松本あすかさん)に、今年度のコンペティション課題曲11曲をあわせることにより、耳慣れた曲の新たな側面も発見。
逆に砂原悟先生の「目と耳で楽しむピアノ」では、何枚かの画像とピアノとドイツ語の歌の演奏を手がかりに、お話を想像するというもの。「どういう結末になったと思う?」と質問するとすぐに答えが出てきた。
根津昭義先生・栄子先生のデュオでは、演奏の途中で突然、飾り物のように小さな16分の1のヴァイオリンへと持ち替えて演奏したり、ウィンナーワルツでは会場の子との即興でアンサンブルも飛び出した。
春畑セロリ先生は「メリーさんの羊」を、"おセンチになっちゃった羊"など10個のイラストにあわせて十変化!「テキーラ」での手拍子・掛け声や、「チューリップ」のコード性格占いなど会場を巻き込んだ。
2日間の最後を務めたのは杉谷昭子先生。ドイツ~ポーランド~イタリア~スペインとヨーロッパの音楽を巡る。「トロイメライ」の静かな情熱から、最後は「火祭りの踊り」の燃え盛る情熱で夏らしく締めくくった。
ピアノトークコンサート祭りレポート来場者の皆様から、たくさんのアンケート、演奏者へのお手紙を送っていただきました。演奏してくださったアーティストの皆様、司会を務めてくださった高木早苗さん・伊賀あゆみさん、暑い中会場まで足を運び、時間を共有してくださったご来場の皆様、誠にありがとうございました。

・・感想・・
◎ 15分ずつで先生方が変わるので、子供にとっては飽きずいいと思います。親としては短時間で無料で沢山のプロの方々の演奏がきけて最高です。
◎ 1人15分の持ち時間ながら、中身の濃い演奏でよかった。子供が楽しめるのがなによりです。
◎ 様々な趣向がこらされていて、楽しくてあっという間でした。
◎ 大人も子供も楽しめた。15分ずつであきなかった。このようなコンサートは、演奏だけより楽しいです。とても楽しく、まさに「音"楽"」の時間を過ごせた。それぞれの方がすばらしい内容とホンモノの演奏で、思い出に残りました。
◎ この半年の間に練習した曲がたくさん出てきたので楽しかった。うまく弾けるコツが聞けると思っていなかったので、とても参考になった。
◎ 課題曲をとり入れて興味をもたせてくれたり、未知の世界をたくさん見せて下さり、感動いたしました。
◎ おひとりおひとりピアノを弾き、伝えたいと思っていらっしゃることがあり、感動しました。
◎ 各地のステップで是非また企画して頂けると、嬉しいです。
◎ 先生方の演奏なさる様子がとても楽しそうで、高度な技術で感激でした。
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